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阪神牝馬S

  • 2005年12月19日(月) 12時50分
 引退レースのアドマイヤグルーヴの完勝だった。5歳の今年はここまで6戦して未勝利で、体つきがふっくらしすぎたきらいがあったが、エリザベス女王杯の頃から本来のシャープな体型に戻り、最後のレースできっちり答えを出したから立派。21戦8勝。大事に使われてきたこともあるが、3歳時から丸3年間、チャンピオン牝馬らしいレースを続けたのだから、見事というしかない。

 パロクサイド(父ネヴァーセイダイ)から出発するこの一族。一時はあまり繁殖牝馬系ではないかもしれないなどと言われたが、いつのまにか日本を代表する名牝系に発展した。

 ダイナカール、エアグルーヴ、そしてアドマイヤグルーヴと連続するGI級のファミリーを中心に、さらに枝を広げそうだ。土曜日のひいらぎ賞を制して2戦2勝となったマッチレスバロー(父フレンチデピュティ)も、その5代母がパロクサイド。同じファミリーの出身になる。

 一方の人気馬、3歳ラインクラフトはまったくの凡走に終わってしまった。ちょっとムキになったとはいえ、前半47.8-58.8秒のペースは本来のラインクラフトなら少しも苦しくない楽なペース。それが簡単に失速してしまったあたり、秋にGIを2戦した目に見えない疲れがあったのだろう。特に3着したマイルCSは1分32秒3。レコードにも近い時計でマイル戦激走のツケは大きかった。

 一連の内容から3歳牝馬チャンピオンのタイトルは獲得できそうだが、阪神牝馬Sは結果として、使わずもがなのGIIだったかもしれない。立て直しに入ることになる。

 2着マイネサマンサ、3着レクレドールは一応、現時点での能力通りだが、最近数年間ではもっとも遅い勝ち時計が示すように、アドマイヤグルーヴの快走によって救われたものの、レースとしては案外の凡戦だった一面もある。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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