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【秋華賞予想】ここ一番で全能力を発揮する血に注目

  • 2020年10月17日(土) 18時00分

流れと位置取りしだいで逆転が望める


 1996年に創設され今年が25回目になる秋華賞。牝馬3冠制覇のかかった春の2冠馬はこれまで5頭が出走し、【4-0-1-0】。男馬の菊花賞のように未知の距離ではない。デアリングタクト(父エピファネイア)が史上初の無敗の3冠牝馬に輝く可能性は高い。父は2013年秋の菊花賞を1番人気で5馬身差の独走を決めている。

 ビッグレース快走の牝馬は流行血脈の最先端に立ち、時の流れを伝えるとされる。父エピファネイアは、母シーザリオ、その父スペシャルウィークを通して大種牡馬サンデーサイレンスの血を受け、現在、初年度産駒(3歳)の賞金獲得額上位30頭のうち、実に23頭(77%)がサンデーサイレンスの血量「4×3」のクロスを持ち、デアリングタクトも、ムジカもピタリこの配合。

 現2歳馬は上位20頭中、18頭(90%)までが「4×3」になる。netkeibaでは、種牡馬エピファネイアの「産駒成績→産駒一覧」で確認できる。

 種牡馬ラインが主流父系だけに集中する近年、こういう現象は世界中で珍しくなく、ニックス(和合性)とか、インブリード(近親交配)を超えたさまざまな成功パターンの成立が知られる。

 日本では消滅の危機もある芦毛のグレイソヴリン系種牡馬は、輸入種牡馬フォルティノ(1959)→Caroカロ(1967)を経たスノードラゴン。輸入種牡馬ゼダーン(1963)を経由した系統でジャングルポケット(後継種牡馬2頭)ががんばっているくらいだが、北米(代表格はアンクルモー、ナイクィスト父子)、フランス(kenmareケンマール系が中心)ではまだ健在。活力を保っている。

 カロを母の父に持つ Unbridled's Songアンブライドルズソング(USA)か、その直系種牡馬を父にもつ牝馬は、サンデーサイレンス直仔との配合で(その数はけっして多くはないのに)、注目の逸材を多く送っている。

 6戦6勝で次週の菊花賞を目ざすコントレイル、2019年ジャパンCのスワーヴリチャード、2014年菊花賞のトーホウジャッカル、2014年朝日杯FSのダノンプラチナ…などがこの配合形になる。総じてここ一番の大レースで全能力を発揮する特徴がある。

 打倒デアリングタクトを狙う復活著しいリアアメリア(父ディープインパクト)もこの配合形になり、母の父がアンブライドルズソングの直仔。

 2歳後半から桜花賞まではリズムを崩していたが、復活の兆しを見せたオークスはデアリングタクトから0秒3差の4着。鋭さでは見劣ったが、外を回って上がり33秒7。最後まで力強く伸びていた。前回よりさらに前進が期待できるこの馬を中心にしたい。流れ、位置取りしだいでは逆転が望める。

 ローズSに注目するとき浮上するのは、同じ中京2000mをローズSと互角の2分00秒0で4馬身差の独走を決めているソフトフルート(父ディープインパクト)。スローの流れを前半は控え、最内を衝いたこともあるが、後半1000nは推定57秒2だった。

 初の強敵相手だが、この上がり馬を3番手にピックアップ。サンライズペガサス(2000mの大阪杯2勝)などで知られる一族で、祖母ストームソングは米のGI2勝馬。スピード能力あふれるタフな牝系に魅力が大きい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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