スマートフォン版へ

勝負服が話題の七夕騎手、騎手になるためご両親を毎日説得した長江騎手――新人騎手たちのデビュー

  • 2020年10月27日(火) 18時00分
 いま話題のアニメ「鬼●の刃」を彷彿とさせる勝負服で今年10月、デビューした騎手が浦和競馬場にいます。彼の名は七夕裕次郎騎手。カッコイイのはその名前だけでなく、初騎乗・初勝利を果たし、存在感をアピールしました。趣味はキノコ狩りという北海道網走市出身の七夕騎手はいったいどんな騎手なのでしょうか。

 また、10月は笠松競馬場で長江慶悟騎手もデビュー。残念ながらデビュー3日目の返し馬で落馬し、現在は療養中ですが、両親を毎日説得し、大変だった地方競馬教養センター生活も「死に物狂いで頑張った」という根性の持ち主。2回に分けてお届けしている10月デビューの地方騎手の後編です。

七夕裕次郎騎手


 10月19日浦和1R。

 七夕裕次郎騎手は大外枠で最後にゲート入りし、デビュー戦のスタートを迎えました。スタートはひと息でしたが、気合いをつけて3番手にポジションを取ると、3コーナーでは先頭に。直線に向き、若干後ろを気にする素振りを見せつつも、そのまま先頭を守ってゴール。見事、初騎乗・初勝利を遂げました。

馬ニアックな世界

▲七夕裕次郎騎手、初騎乗・初勝利!(写真は10月21日の第6R)


「勝ててちょっとホッとはしました。気持ち早めに仕掛けたんですけど、手応えが良かったです。自分の進路ミスで距離ロスがあったんですけど、馬が強くて助けてもらいました。直線は『来ないでくれ』という感じでした」

馬ニアックな世界

▲「直線は『来ないでくれ』という感じでした」と七夕騎手(写真は10月21日の第6R)


 北海道から応援に駆け付けたご家族の前で決めた初勝利。その後の騎乗でも、新人らしく積極的に前目のポジションを取りに行くレースぶりが見られました。

「減量を生かして乗りたいなと思って、積極的に前に行くようにはしています。でも、進路とかペースとかなかなか思い通りにいかなくて難しいです」

 そんな七夕騎手の出身は北海道網走市。側弯症で通院していた中学2年生の時、医師から「もう背が伸びない」と言われ、ショックを受けます。しかし、その医師が当時、JRAで馬主をしていて、「体の小ささを生かして騎手をやってみないか」と声をかけてくれたことがきっかけで、この世界を目指します。

 中学校卒業後は浦河の育成牧場などで働き、そこで浦和の平山真希調教師を紹介してもらい厩務員として働きました。

「今回で受からなかったら、もう厩務員でもいいのかな…」そう考え始めていた頃、ついに地方競馬教養センターに合格し、今年10月、20歳の誕生日を迎えた直後にデビュー戦を迎えたのでした。ちなみに、黒と緑の勝負服は、いま流行りのアニメの主人公の衣装と同じだと一部ファンの間で話題になりました。

馬ニアックな世界

▲一部ファンの間で話題になった七夕騎手の勝負服


馬ニアックな世界

▲更に腹帯には「七夕」という名字から短冊をイメージしたロゴが!


「勝負服を選んだ時に、『たぶん(話題に)なるだろうな』って思いました(笑)」と七夕騎手。アニメが流行る前から「黒地に緑が映えると思って」と、決めていたようです。

 そして、趣味のキノコ狩りは「幼稚園の頃、祖母に連れられて魅了されました。毒キノコはだいたい見分けられます」という頼もしさ。

 報道陣からは「北海道だと、キノコ狩りの最中に熊に遭遇したことがあるのでは?」と質問が飛びましたが、「熊が出る山にも行きましたが、一度も会わずにすみました」と、運の良さも持ち合わせています。

「1鞍1鞍、丁寧に乗っていくことがこれからの目標です。焦っちゃっているので、まずは焦らないでしっかり落ち着いて乗りたいです」

 待ち望んだスタートラインにようやく立った七夕騎手のこれからの活躍に期待です。

馬ニアックな世界

▲七夕騎手のこれからの活躍に期待!


長江慶悟騎手


 長江慶悟騎手は高校卒業後に地方競馬教養センターに入所。11月12日には21歳の誕生日を迎えます。そんな彼が騎手を志したのは、テレビの競馬中継がきっかけでした。

馬ニアックな世界

▲テレビの競馬中継がきっかけで騎手を志した長江慶悟騎手


「中学生の時、友達と競馬中継を見ていて、自分もやってみたいと思いました。キタサンブラックが特に印象に残っています」

 さらにお父様が乗馬を習っていて、そこで馬の世話も少し経験したのだとか。とはいえ、ご両親は競馬ファンというわけではなく、初めて「騎手になりたい」と思いを伝えた時には、「騎手は危ないんじゃないか」と反対されたといいます。

 しかし、毎日説得を繰り返し、騎手への道をつなぎました。

馬ニアックな世界

▲毎日説得を繰り返し、騎手に!(提供:地方競馬全国協会)


「教養センターでは最初の頃、大変だったのですが、自分が両親にお願いしてやらせてもらっているので、死に物狂いでがんばりました」という根性を見せ、見事、騎手免許を手にしました。

 10月5日に笠松競馬場でデビューを果たし、初日は5鞍に騎乗。1日の開催休みを挟んだ7日も3鞍、8日も3鞍に騎乗予定でした。ところが、8日の3鞍目・7Rタッチウェーブの返し馬で落馬し、負傷。乗り替わりとなってしまいました。

 現在も療養中の長江騎手。デビューしたばかりで、同期よりも多くの経験を積み、より早く勝ち星を積み重ねたいと思っているであろう頃の負傷は、焦りや不安が募ることと思います。

 しかし、騎手人生は始まったばかり。復帰を焦ってしまうと、今後10年、20年と続くかもしれぬ騎手生活で尾を引いてしまう可能性もありますから、今はぐっと堪えてしっかり治してほしいと願います。

 2回に分けてご紹介した今年10月デビューの新人騎手たち。七夕裕次郎騎手(浦和)、長江慶悟騎手(笠松)、井上瑛太騎手(高知)、飛田愛斗騎手(佐賀)の4名のこれからの騎手人生が充実したものになることを願っています。

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

すでにお気に入りに登録しています。

登録済

競馬リポーター。競馬番組のほか、UMAJOセミナー講師やイベントMCも務める。『優駿』『週刊競馬ブック』『Club JRA-Net CAFEブログ』などを執筆。小学5年生からJRAと地方競馬の二刀流。神戸市出身、ホームグラウンドは阪神・園田・栗東。特技は寝ることと馬名しりとり。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング