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【天皇賞・秋】史上初の8冠馬の誕生「このコンビじゃなかったら、8勝はなかった」

  • 2020年11月05日(木) 18時00分
哲三の眼

芝GI8勝目を挙げたアーモンドアイとC.ルメール騎手(撮影:下野雄規)


豪華メンバーが集った天皇賞・秋は1番人気アーモンドアイが勝利。史上初となる芝GI8勝の快挙を成し遂げ、競馬界にまた新たな歴史が刻まれました。レース後には涙を浮かべていたルメール騎手。大記録がかかる一戦、いつも以上に重くのしかかっていたであろうプレッシャーを一切感じさせない完璧なレース運びに、“ここ一番で隙を作らない”主戦のルメール騎手のすごさを改めて感じた一戦でした。今回はルメール騎手のすごさのひとつである“ポジション取り”を中心に解説します。

(構成=赤見千尋)

ルメール騎手は“レースに隙がない”


 秋の天皇賞は1番人気に支持されたアーモンドアイが、芝GI8勝という快挙を成し遂げました。クリストフ(・ルメール騎手)の騎乗も素晴らしく、さすがの人馬だなと感嘆しました。

 いつも言っていますが、まずスタートですよね。アーモンドアイはデビュー戦の頃はゲートをあまり出ていなかったですが、ここぞの時はだいたい出ている。マイルを2戦使ってからの2000m戦というのは、騎手にとっては乗り難しい部分がありますが、そういう不安な面も跳ね除けてくれました。

 アーモンドアイはマイル戦だとゲートの脆さが出る時があるけれど、中距離ではほとんど出遅れていないんです。これは僕の個人的な見解ですが、中距離で勝つセッティングにしっかり合わせられているのではないかと思っていて。マイル戦だと中距離とは違う脚を使わなければならないので、そこの意識の中でゲートが出にくくなることがあるのかなと想像しています。

 もちろんマイルでも走れる馬ですが、騎手の視点で見ると乗りやすいのは中距離ではないかと。そこをしっかり逃さない、ここ一番で勝ち切るアーモンドアイとクリストフのコンビは本当にすごいですし、それが8回ですからね。

 GIでは少しの甘さ、少しの隙が勝敗を分けるわけで、クリストフのすごいところはここ一番で隙を作らないところです。今回ももちろん人気でしたし、絶対に勝てるだろうと考えた方も多いのではないでしょうか? でもGIで8回も勝つ、ここ一番で必ず勝つということは簡単ではありません。少しの出遅れ、少しのポジション取りが、最後の着差に大きく影響してきます。

哲三の眼

どんなに強いコンビでも、ここ一番で必ず勝つということは簡単ではない(撮影:下野雄規)


 今回のファインプレーはどこかと聞かれたら、

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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