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売り上げを大幅に更新した今年のホッカイドウ競馬が終了

  • 2020年11月11日(水) 18時00分

ナイター開催でのネット販売が売り上げに大きく貢献


 4月15日に開幕した道営ホッカイドウ競馬は、11月5日をもって今年度の開催を全て終了した。今年は、コロナ禍により他の競馬場と同様、無観客でのスタートを余儀なくされたものの、数々の興行やイベントが中止に追い込まれ、多くの人々がステイホームを強いられて旅行や外食なども自粛せざるを得ない状況となったことから、競馬が数少ない娯楽のひとつとして支持された形となった。

 とりわけホッカイドウ競馬は、平日開催ながら、全日程をナイター開催で行っていることから、ネット投票が大きく伸び、終わってみれば既報の通り、売り上げが全82日間で計520億4480万6060円に達した。従来の記録(1991年18開催103日間)は454億838万4700円なので、実に66億3642万1360円もの大幅な更新である。

 昨年の開催終了時、売り上げが330億円に達した時にも、1994年(平成6年)以来25年ぶりの300億円超えがずいぶん明るいニュースとして受け止められたが、今年の数字は、そこから一気に190億円もの上乗せであり、あまりの急激な伸び方にはかえって落ち着かなくなるほどだ。

 何せ、わずか10年前までは、110億円台で何年も推移していたのである。そこからざっと5倍近くまで増えたのだ。コロナ禍という特殊事情があったにせよ、ここまで延びるとは正直なところ全く予測できなかった。

 さて、最終日の11月5日は、天候の心配もなく、この時期にしては比較的温暖な夜になり、場内は抽選で選ばれた熱心なファンが終日間近でレースを楽しんでいた。

 この日は重賞が二本立てで、第11レースは「東京スポーツ杯、第15回道営スプリント」、第12レースに「第63回道営記念」が組まれていた。

 まず道営スプリント。外回り1200m。今年から1着賞金が倍増の1000万円となり、13頭がエントリーしてきた。1番人気はソルサリエンテ(宮崎光行騎手)、2番人気ジョウラン(服部茂史騎手)、3番人気ソイカウボーイ(岩橋勇二騎手)。レースはオールドベイリー(松井伸也騎手)、アザワク(桑村真明騎手)、ウワサノコウタロウ(阪野学騎手)が先行する中、集団からやや離れた最後尾を進んだジャスパーシャイン(阿部龍騎手)が3コーナーで集団に追いつき、大外を回って4コーナーから直線に向くや否や、驚異的な追い込みを見せてゴール前で粘るジョウラン、アザワクを差し切り1馬身差をつけて優勝した。

生産地便り

驚異的な追い込みを見せて優勝したジャスパーシャイン


 ジャスパーシャインは牡3歳栗毛。父Violence 母Golden Made、カナダ産。本年1月に中央デビューしたものの5戦未勝利で終わるもその後門別に転厩すると、あれよあれよという間に勝ち続け、ついに最終日の重賞をも制して5連勝となった。通算成績は10戦5勝。佐久間雅貴厩舎の管理馬。馬主は加藤和夫氏。

生産地便り

ジャスパーシャインの口取りの様子


 最終12レースは伝統の一戦、道営記念である。1着賞金1500万円。2000m。開催のオーラスを飾るべく精鋭12頭が顔を揃えた。人気はクインズサターン(落合玄太騎手)、ルールソヴァール(岩橋勇二騎手)、リンノレジェンド(岡部誠騎手=愛知)、コパノリッチマン(吉原寛人騎手=金沢)、ヤマノファイト(服部茂史騎手)という順で並んだ。実績のある中央からの転入組対地元勢という図式であった。

 道立富川高校吹奏楽部の奏でるファンファーレが鳴り響き、定刻にスタートが切られた。まず外から昨年の道営記念の覇者リンノレジェンドが内側に切れ込むようにコパノリッチマンと並んで先行する。それにアベニンドリーム(阿部龍騎手)、ルールソヴァールも直後につける。向正面を進み3コーナーに入ったあたりでコパノリッチマンがやや後退し、リンノレジェンドが先頭に代わる。4コーナーをリンノレジェンドとルールソヴァールが並ぶように回り、直線に向かう。残り1ハロン。良い手応えでルールソヴァールが抜け出したと思ったら、その外側からクインズサターンがぐいぐいと迫り、残り100mあたりでルールソヴァールを捉え、一気に交わして先頭でゴール板を駆け抜けた。落合玄太騎手が馬上でガッツポーズを見せる会心の勝利であった。

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先頭でゴール板を駆け抜けたクインズサターン


 クインズサターンは、父パイロ、母ケイアイベローナ、母の父クロフネという血統の牡7歳芦毛。安田武広厩舎の管理馬。馬主は亀田和弘氏。生産者は新ひだか町・佐竹学氏。中央で5勝を挙げた後、南関東を経て、今年8月より門別に転厩後3連勝で道営記念に臨んでいた。通算成績は37戦9勝、2着5回3着7回、獲得賞金は1億9857万円。落合玄太騎手、安田武広調教師は、ともに道営記念初制覇であった。

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クインズサターンの口取りの様子


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落合玄太騎手、安田武広調教師はともに道営記念初制覇


 これで、冒頭でも触れた通り、今年度の開催が全て終了し、過去最高額を大幅に更新する520億円の売り上げを記録したわけだが、来年は果たしてどのような年になるものか。

 おそらく、この驚異的な売り上げは今年限りの例外的な出来事であろうと思われるが、ともあれ、これで厩舎関係者や馬主会などからも、賞金と出走手当の大幅増額を求める声が出てくるだろう。北海道馬主会は昨年秋に主催者である北海道に対して「開催日数増と賞金増額」を以前の水準に戻して頂きたいと要望している。今年は昨年比で実に157%もの驚異的な伸びを記録したのだから、さらなる上乗せを求められるだろう。

 道営記念を例に取ると、1973年の同レース創設時の1着賞金は600万円。以降、700万円、900万円と増額され、創設から3年後の1976年には1000万円の大台に乗った。それ以後、1000万円時代が1981年まで続いた。翌1982年〜1984年には1200万円と増えたものの、1985年〜1989年には1100万円に減額された。

 その後1990年に一気に2000万円となり、翌1991年には2500万円になる。当時の賑わいぶりが偲ばれる数字だが、売り上げがピークに達した1991年以降も、道営記念だけは1999年まで2500万円以上を確保していた。のみならず1997年と98年には3000万円もの大盤振る舞いであった。

 しかし、売り上げがピークの1991年以降、急減して行くにつれて、収支が逆転して赤字を生むようになったのは周知の通りである。今年は飛び抜けて数字の伸びた1年となったが、そのことでかえって来年度の予算編成がかなり難しいものになったとも言えそうだ。門別競馬場は厩舎群や従事者住宅など、昭和時代の建築物も目に付く。賞金や出走手当の増額もさることながら、これらの整備も急務である。主催者がどう判断するか、見守りたい。

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ホッカイドウ競馬の来年は果たしてどのような年になるものか

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岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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