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【エリザベス女王杯】アブミにもう一人のルメール騎手!? 繊細な足の裏の感覚

  • 2020年11月19日(木) 18時00分
哲三の眼

エリザベス女王杯を連覇したラッキーライラック(C)netkeiba.com


阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯は、ラッキーライラックが勝利。史上4頭目のエリザベス女王杯連覇を達成しました。今回は、C.ルメール騎手の“べース”に着目。騎乗するうえで、「足の裏から伝わってくることもたくさんある」と話す哲三氏が、現役時代の自身の経験も交えて詳しく解説します。

(構成=赤見千尋)

“その馬の特徴に合わせた乗り方を見抜ける”ルメール騎手のすごさ


 エリザベス女王杯は1番人気ラッキーライラックが勝利。鞍上のクリストフ(・ルメール騎手)に関してはもうさすがとしか言いようがないですよね。たとえ1番人気になるような強い馬に乗ったとしても、常に勝てるわけではないのが競馬ですが、クリストフは本当に大舞台で隙がない。

 細かい部分でもたくさん絶賛したいところはありますが、今回掘り下げるのはベースについて。

 馬の上に人が乗って競馬をするわけですが、馬の上だけではなくて、下にもクリストフがいるようなイメージ。下というのはステップを踏むアブミのところで、そこにもう一人のクリストフの頭脳があるのではないかと思うくらい、頭で考えたことを足で受け取れる、伝達が速いと感じます。

 僕自身現役の時、頭で考えてというのはもちろんですが、考えるだけではなく足の一番バランスを取るところ、人によって少し違いますが、足の裏、親指の付け根辺りでしょうか。アブミを踏む感覚、力のかけ方、その感覚を大事にしていました。ハミから伝わる拳の感覚や、馬上で感じる部分もたくさんありますが、足の裏から伝わって来るもので、この馬はこういう馬なんだなと感じることもたくさんあるというのが僕の持論です。

 ラッキーライラックのこれまでのレースを見ていると、内にささったり、もたれたりする場面がありました。でも今回そう感じるところが全くない。もちろん、古馬になって馬が成長し、陣営の努力と相まって扱いやすくなったというのはあると思います。でもそれだけではないと僕は思いますね。

 去年エリザベス女王杯の時に騎乗したスミヨン騎手もしっかり結果を出したわけですが、クリストフとスミヨンでは乗り方が全然違っていて。2人ともさすがの技術なんですが、

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1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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