スマートフォン版へ

【ジャパンC】後世に語り継がれる大一番

  • 2020年11月28日(土) 12時00分

見る側も心構えをしっかり持たなくてはならない


 日本の競馬史上空前の3冠馬3頭が対戦する大舞台。世紀の対決にどう向き合ったらいいのか。ここでは、芝GI最多の8勝目をこの秋の天皇賞で達成したアーモンドアイがラストランで戦うし、史上初の牡牝の無敗で3冠馬となったコントレイル、デアリングタクトが新たな戦いを迎えている。どれも負けちゃいけないと思ってしまう。当然、後世に語り継がれる大一番だから、見る側も心構えをしっかり持たなくてはならない。

 戦況という側面からは、現役最強馬で女王のアーモンドアイに、牡牝2頭の無敗の3冠馬がどう挑むかということになるが、これから先は各人の考え方を決めるしかない。もちろん、この3強にひと泡ふかそうと出ている他の出走馬にも、それぞれの思惑がある筈。

 広い東京コースが、これほど輝いて見えるのも、これだけの役者が揃ったから。逆に言えば、この舞台だからこそ、出走馬それぞれが一段と晴れがましく見えて仕方ない。

 咲きそろったサザンカの花が、皇居のお堀端にあることで一層華やいで目にとび込んでくるのに似ている。どれも同じように見えるのだ。名勝負になることは間違いない。レースを見て、どんな気持ちになるだろう。

 天皇賞が一度勝つと2度目は出られなかった頃の最強馬決定戦と言えば、有馬記念だった。その中で名勝負と言えば、テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラスが戦った1977年の大一番を思い出す。トウショウボーイを交わしてテンポイントが出て、そこにグリーングラスが詰め寄る。前年の覇者トウショウボーイ、これに前年敗れて雪辱を期すテンポイント、そして同期の菊花賞馬グリーングラス。3頭が出てきたその時、実況しながら心では、どっちも負けるなと叫んでいた。今年のジャパンカップは、きっとそんな気持ちになっているだろう。

 東京の2400米は、向こう正面で展開が落ち着き、長い直線に入る4コーナーに向かうあたりから動き出すので、直線勝負だと届かない。特にこれだけのメンバーが揃うとある程度のポジションで流れに乗れていないと苦戦する。それともう一点、馬場が世界レコードが出た2年前と違い、どうやら持久力が求められる状況だということも考慮したい。

 天皇賞から中3週が気にされるアーモンドアイだが、体の張り、目の輝きが素晴らしく、ラストランにふさわしい堂々たる走りを期待したい。牡牝の3冠馬は、これからの世代。菊花賞を走ったコントレイルは、秋3戦目ということを考えると、これを乗り越えたら年度を代表する存在になれることは間違いなく、牝馬デアリングタクトは、中5週で斤量が53キロ。派手さはなくとも勝負強い馬。牝馬の時代の担い手としてこのアドバンテージを生かせるとも考えられる。3強に迫るのは、グローリーヴェイズとキセキを距離面から見ておきたい。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング