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平安S

  • 2006年01月23日(月) 12時50分
 新旧のダート巧者がそろい、GIフェブラリーSへ向けて激しい攻防が期待されたが、案外、大きな見せ場もなくすんなり決着がついてしまった。ダートに方向転換して4連勝中のタガノゲルニカが流れに乗って2番手から抜け出し、好位3〜4番手のヴァーミリアンが伸びてのマッチレースに近かった。ヴァーミリアンもダートに方向転換して2連勝中の4歳馬。あっけなく4歳=4歳の決着だった。

 前半の1000m通過が62秒0のスロー。そのため単調な流れになった点は物足りないが、勝ち時計の1分50秒2は例年通り。紛れが生じたわけではなく、上位6着までに5番人気以内の馬がすべて入り、伏兵として割って入ったのはハードクリスタルだけ。ほぼ順当といえる結果だろう。新しいグループに軍配が挙がったのは明らかで、カネヒキリを筆頭とする4歳世代にはダート巧者が数多く存在して、なおかつレベルも非常に高いといえる。

 さまざまなタイプの種牡馬や繁殖牝馬が輸入されているが、最近10〜15年に限ると、大半がヘイルトゥリーズン系か、ミスタープロスペクター系の色彩が濃いアメリカ血脈ばかり。高いダート適性を誇る馬がどんどん増えているのは当然の流れであり、それが時代とともにさらに一段と色濃くなっている印象が強い。ダート部門、あるいはダートも芝もOKのタイプが多くなり、さらには主流にも近づきつつあるのは、日本だけでなく、世界の競馬の流れともいえるのだろう。

 今回はすんなり先行の流れに、多少は恵まれたとはいえ、ダートに移って5戦5勝。タガノゲルニカ(父ブライアンズタイム)は、芝は未勝利なのだから、未勝利から出発して無敗の連勝馬が、重賞を制してしまったことになった。ブライアンズタイム産駒の、ある時期の急成長は知られるが、息の長い活躍を続けるのもまたその特徴であり、タガノゲルニカの活躍はまだまだ続くことになる。

 ヴァーミリアンは、ダート重賞の常連サカラートの半弟で、父は同じミスプロ系。今回はプラス20kgで明らかに太め残りのうえ、道中で落鉄の不利もあったという。フェブラリーSに向けて大きく展望が広がった。タガノゲルニカとは2kgの斤量差があり、体調も考えると地力はむしろ一枚上の感がある。

 前年の勝ち馬ヒシアトラスは、もっと力の競馬になり、もつれる展開が望みだったが、今回はスピード負けの形。35秒台の上がり勝負になっては苦しかった。ベラージオは5馬身近い出遅れ。レース上がりが48.2-35.5秒ではどうしようもなかった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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