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【日経新春杯予想】本格化が期待される5歳始動戦

  • 2021年01月16日(土) 18時00分

ハーツクライ系の最大の特徴は成長力


 年齢が加算されて5歳になったヴェロックス(父ジャスタウェイ)の通算成績は、12戦【3-3-3-3】。2019年の皐月賞2着、日本ダービー3着。菊花賞3着の実力馬とすると、ちょっとトップホースとはいえない成績になっている。

 最大の理由は、4歳時に9カ月半ものブランクがあったことと、軽快なスピード能力と鋭い切れを欠き、好走しながらもちょっと詰めが甘いこと。

 しかし、父ジャスタウェイも4歳秋までは勝ちみに遅い2勝馬だった。ところが、古馬になってパワーアップし4歳最終戦の天皇賞(秋)を制覇すると、そこから5歳前半にかけて重賞4連勝を飾っている。ドバイ遠征をはさみ、GI3勝。

 その父ハーツクライも、一年以上ずっと勝てないでいたが、4歳暮れにディープインパクトを倒して有馬記念を勝つと、5歳前半には海外遠征に踏み切り世界のビッグレースを1着、3着と快走した。

 ハーツクライ系の最大の特徴は成長力だが、ハーツクライ自身も、ジャスタウェイ、スワーヴリチャード、リスグラシューなどの代表産駒がそうだったように、一時期伸び悩むような停滞期があり、そこからまたパワーアップした姿をみせるところが真価。

 先週のシンザン記念1600m(中京)は1分33秒3の速いタイムだったが、3コーナーあたりでは土煙の舞うタフな芝で、1、2着馬は500キロ以上の大型馬だった。非力感のあった人気の牝馬ククナは伸び切れず4着にとどまっている。

 ヴェロックスの牝系はマンハッタンカフェ、ブエナビスタなどの出現で脚光を浴び、現在は4歳サリオスなどが代表するドイツの誇る名牝系(シュヴァルツゴルトの一族)。

 母の父Monsunモンズーンはドイツのチャンピオンサイアーであり、自身は2400mを中心にドイツで12勝(GI3勝)の名種牡馬。底力とパワーを伝え、母の父としては同じシュヴァルツゴルト一族のソウルスターリング(オークス馬)に強い影響力を与えた。

 現在の中京は、詰めの甘いヴェロックスに理想の芝コンディションと思える。前走を長期休養明けの叩き台として、今回を本物になるはずの5歳始動戦としたい。

 小柄だからといって非力ではないアドマイヤビルゴの評価を落とす必要はないが、500キロ級の馬体を持つサトノソルタス、クラージュゲリエ、サトノインプレッサが相手の主力。小柄でも驚くほどタフな牝馬レイホーロマンスは押さえたい。

 中山の「京成杯2000m」も高速の芝ではない。穴馬は使いつつ一戦ごとにグングン良化して前回圧勝のラカン(父キズナ)。5戦目で初勝利はエリートの成績ではなく、まして福島なので評価されないが、2分01秒8は悪くない。自身の最後の2ハロンは推定「11秒9-11秒7」だった。右回りだと猛然と伸びてくる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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