【AJCC予想】苦しいレース経験に勝る5歳以上馬に注目したい
今年は4歳世代に注目が集まるが…
近年は4歳馬の出走が非常に少ない別定のGII。ところが、今年は過去20年では2014年と並ぶ最多タイの「4頭」の4歳馬が出走してきた。菊花賞でコントレイルと大接戦の2着したアリストテレスを筆頭に、みんな3歳クラシックで2着、あるいは3着のある期待の注目馬ばかりである。
しかし、過去20年、4歳馬の成績は【2-8-4-25】にとどまる。「5歳馬…8勝、6歳馬…5勝、7歳馬…5勝」と比較すると、勝率は非常に低い。またこの20年、渋馬場(稍重-不良)で行われたケースは3回、タフな馬場コンディションを克服して勝ったのは5歳以上馬だけという記録がある。きびしいレース経験の差が生じている。
世代レベルとかではなく、最近のオープン馬は無理使いされていないため、消耗している古馬は少ないという理由が考えられる。近年、コントレイル、デアリングタクトのようなGI勝ち馬は、このGIIを路線の中に組み込んではいないという理由もある。
今年の活躍が期待される4歳馬の上昇度を重視するのは当然だが、きびしいコンディションの馬場になった。苦しいレース経験に勝る5歳以上馬に注目したい。
評価落ちの5歳ラストドラフト(父ノヴェリスト)は、非力なタイプのように映るが、1月の中山で2戦、2019年の京成杯を1着、昨2020年のAJCC3着がある。
稍重だった昨年のAJCCは、前後半「62秒4-(12秒0)-60秒6」=2分15秒0(上がり36秒7)のパワーと底力を問われた2200mだった。勢いをつけてスパート態勢に入った4コーナー手前で前方のマイネルフロストが故障して減速。同じ位置にいたミッキースワローとともに外に回らざるをえない不利があった。
勝ち馬は巧みにインを衝いたブラストワンピース。2着は先行して内で粘った今年も対戦するステイフーリッシュ。同馬と0秒3差の3着だが、立て直して大外から猛然と伸びた内容は、コースロスがなければ接戦可能な勢いだった。O.マーフィー騎手が猛然と追ったこともあるが、渋馬場でひるむ場面はなかった。
父ノヴェリスト(IRE産、父Monsun)は、産駒の成績もう一歩で、すでに社台SSから移動しているが、典型的なドイツ血統らしく、産駒の真価発揮はタフな古馬になってからではないかとすることができる。
母マルセリーナは桜花賞馬だが、決して軽いスピード型ではなく、5歳時にマーメイドS(阪神2000m)も勝っている。その半弟グランデッツァがブランクを克服して再上昇し、都大路S(京都1800m)を現在もJRAレコードの1分43秒9で独走したのも5歳時だった。ラストドラフトにはまだ上昇できる背景がある。
渋馬場になって古馬で評価を上げたいのは、立ち直ってきた先行馬ジェネラーレウーノ(セントライト記念馬)、穴馬に時計がかかって侮れないベストアプローチ。4歳馬で評価を上げたいのはヴェルトライゼンデ(母の父Acatenangoアカテナンゴは独ダービーなど16勝)の秘めているはずのパワー。