近年は春のトライアルに若干物足りなさも
2019年にサートゥルナーリアが2歳末のホープフルSから直行で皐月賞を制した。現体系になってから歴史的な勝利だった。2020年にはコントレイル=サリオスが、同じように休み明けの3歳初戦で皐月賞ワンツーを達成している。すっかり、有力候補ほど春前半の消耗を避けるスケジュールでクラシックに挑戦する時代になった。
土曜日の「チューリップ賞」はこれまでと比べ、やや物足りない印象もあったが、牡馬のもっとも重要なトライアルとされる「弥生賞ディープインパクト記念」も、近年の流れをストレートに反映したのか、ちょっと手薄な組み合わせになった。
ただ1頭の重賞勝ち馬ダノンザキッド(父ジャスタウェイ)は、最優秀2歳牡馬チャンピオン。すでにGIホープフルSと、2歳重賞では重要度が高く今年からGIIに昇格する東スポ杯2歳Sを制している。ここまで3戦3勝。勝ったレースは、昨年の無敗の3冠馬コントレイルとそっくり同じになる。
さらなる進展を確認しようと、この最重要なトライアルに出走する。大型馬ゆえまだまだ完成に近づく度合いが低いうえ、馬場差はあったとはいえ、東スポ杯2歳Sはコントレイルのレコードより3秒0も遅かった。ホープフルSのタイムも1秒4見劣り、GIに昇格して4年、2分02秒8も要したのは初めてだった。
例年の皐月賞の決着タイムは、良馬場だと1分59秒以内であり、快勝した東スポ杯2歳Sも、ホープフルSもあまりに時計が平凡。皐月賞へ向けスピード能力を確かめたいという意味も重なるだろう。先週の中山は予測以上の高速コンディションだった。(稍重程度にとどまるなら)皐月賞に必要なスピード能力を秘めるかどうかが判明する。
このダノンザキッドがいなければ、最重要のトライアルはみんな重賞未勝利馬の一戦になるところだった。ここはスケールで圧倒して、時計面の課題もクリアしたい。
落ち着いた頭数になったからこそ、優先出走権(3着以内)確保がテーマの人馬はかなり慎重に乗ると思える。よほどスローに陥らない限り、みんなの目標になるレースはしたくない。本番を前にダノンザキッドが主導権を主張することはないが、順当にダノンザキッドに抜け出されると、残る優先出走権の席は2つしかない。
中心はダノンザキッドだが、今回はどこかで強気にスパートするはずのタイトルホルダー(横山武史騎手)を相手の筆頭にしたい。メロディーレーンの下、それなりのスタミナ能力があると思える。この中間はホープフルS当時以上に動いている。