スマートフォン版へ

新しい風が吹き込む春の競馬界

  • 2021年03月16日(火) 18時00分

若手騎手の活躍が止まらない!


 3月も中旬になると「春が来た!」と思うような出来事がたくさんあり、中央競馬では新人騎手がデビューしただけでなく、今年は早々と初勝利が続いているのには驚かされる。

 3月6日(土)には阪神で小沢大仁騎手、中山で永野猛蔵騎手がそれぞれ初騎乗・初勝利。13日(土)には中京で松本大輝騎手、阪神で古川奈穂騎手が、14日(日)には中京で永島まなみ騎手がそれぞれ初勝利を挙げた。

 古川騎手は、前走シンザン記念で3着だったバスラットレオンに騎乗し1番人気での勝利ということでは、数々の名馬だけでなく、“人も育てる”矢作芳人調教師らしい起用にこたえた。永島騎手は、ご存知のとおり父が兵庫の元騎手で調教師の永島太郎さん。さぞやお喜びであろう。

断然人気でのJRA初勝利を飾った古川奈穂騎手(C)netkeiba.com


 少し以前の中央競馬は、外国人ジョッキーや地方出身騎手の活躍が目立ち、若手騎手の出番がなかなか巡ってこないという状況だった。それがここ2〜3年では、若手騎手の活躍が顕著になってきた。

 ごく最近でも、デビュー5年目の横山武史騎手が、共同通信杯をエフフォーリアで、弥生賞をタイトルホルダーで勝ってクラシックの有力馬が2頭。GI勝ち馬が揃った金鯱賞を最低人気のギベオンで見事に逃げ切ったのは、デビュー4年目の西村淳也騎手だった。

クラシックへの登竜門・共同通信杯で勝利を挙げた横山武史騎手(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 地方競馬でも、2月16日付の本コラム『新人騎手の活躍』で取り上げた佐賀の飛田愛斗騎手がますます、すごい。佐賀では不動のリーディングだった山口勲騎手と、日々リーディングを争っている状況だ。

 昨年10月にデビューしたばかりの飛田騎手は、2月25日に行われた九州産馬限定の中央との交流重賞・たんぽぽ賞で、単勝1.6倍の断然人気に支持されたJRAのイロエンピツの手綱を任され、2着に大差をつけて圧勝。重賞初制覇を果たした。その日は9レースに騎乗し6勝を挙げる活躍で、佐賀リーディングのトップに立った。さらに28日の重賞・ウインターチャンピオンでは、やはり1番人気のドラゴンゲートで逃げ切り6馬身差の圧勝。

佐賀リーディング争いをしている飛田愛斗騎手(C)netkeiba.com、提供:佐賀県競馬組合


 3月13日には、飛田騎手、山口騎手がそれぞれ2勝ずつを挙げ、ともに今年40勝。2着の差で山口騎手がトップだった。しかし翌14日は、飛田騎手3勝、山口騎手2勝で逆転。3月16日現在の佐賀リーディングでは、飛田騎手43勝、山口騎手42勝で、3位は離れて倉富隆一郎騎手が24勝となってる。18歳の新人と、50歳のベテランが、抜きつ抜かれつのリーディング争いという状況は、何度も繰り返しになるが、やはりすごい。

 飛田騎手では、前述ドラゴンゲートのほか、中央オープンから佐賀に移籍してきたノーフィアーが圧倒的な強さで目下2連勝中。重賞が狙えそうなお手馬が揃っている。

 さて、地方競馬の新人騎手は、合格発表が19日(金)で、無事に全員合格となれば、9名が4月1日以降、各競馬場でデビューとなる。地方競馬でもそのうち2名が女性だ。

 若手騎手といえば、5年目となるヤングジョッキーズシリーズが今年も実施予定だが、若手騎手が活躍しているということでは、その新陳代謝も著しい。

 昨年は、地方騎手31名(欠場含む)、JRA騎手16名が出場。その中で、地方騎手は現時点で9名が減量を卒業し、さらに1名が3月末で5年経過で減量でなくなる。JRA騎手では3名がすでに見習を卒業し、ほか2名が5年経過となる。つまり今年のヤングジョッキーズシリーズは、地方騎手が昨年から10減・9増(あくまでも19日に合格が発表されれば)、JRAは5減・8増となる。なお出場資格は4月1日現在の勝利数なので、減量・見習でなくなる騎手は今後さらに増える可能性もある。

 ヤングジョッキーズシリーズ出場騎手の入れ替わりが多いことでも、若手騎手の活躍ぶりがわかる。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング