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クラシックがもうすぐそこに!熱気高まる3歳重賞から目が離せない

  • 2021年03月23日(火) 18時00分
今週末からJRAでは4週連続でのGIレース。春の足音とともに、クラシックレースの開幕も近づいてきました。それは地方競馬も同じで、園田・姫路競馬では4月15日の菊水賞から3歳三冠レースがスタート。また、高知競馬では5月2日の黒潮皐月賞に向けて先週21日、重賞・土佐春花賞が行われました。これから盛り上がっていく地方競馬の3歳重賞ついて「ちょっと馬ニアックな世界」を覗いてみましょう。

幼さと高いポテンシャルのサラコナン


 いま園田・姫路競馬で注目度が急上昇中のサラコナン。昨年末に門別から移籍してきました。移籍初戦を勝った後、1月21日には笠松の重賞・ゴールドジュニアに遠征予定が中止。それを受けて、急遽翌週の地元3歳戦に出走すると、最後方からレースを運び、3コーナーでもなかなかエンジンがかからない様子だったのが、たった230mの直線で大外から末脚を伸ばし、差し切って勝ちました。

馬ニアックな世界

▲幼いレースぶりながらも勝ち切ったサラコナン(写真中央)


「つっよ!!!」
「このレースぶりで勝つん!?」

 と記者たちからも感嘆の声。

 幼さを残すレースぶりながら、相当なポテンシャルを感じさせるものでした。

 そして今月4日に行われた重賞・兵庫ユースカップ(昨年までは園田ユースカップとして施行)は、前走と打って変わって3番手で先行してのレースとなりました。

「今日は前で正攻法の競馬をしたかったのですが、思いの外いいポジションが取れました」と主戦の田中学騎手。

 しかし、最初のコーナーを回る時に前の馬が蹴り上げた砂を被り嫌がってしまい、逃げ馬との差をやや広げてしまいます。向正面後半で先頭との差を詰めますが、再び差を広げられたのは3コーナー。田中騎手がハミを取らせようとしたり、見せムチをするなどサラコナンに何とか走る気を起こさせると、ゴール前での一騎打ちを制して勝利しました。

「3カ所くらい課題とするシーンがありました。それでも、直線はしっかり伸びてくれることが分かっていたので、いけるかなと思っていました」

 もちろん、この先に見据えるのは一冠目・菊水賞。距離が1400mから1700mに延びますが、「距離は克服できると思います。気性がずるいというか賢いというか、という感じで、馬と一緒に成長していきたいです。今回のレースはかなりの自信になりました」

馬ニアックな世界

▲「かなりの自信になりました」とレースを振り返る田中学騎手(左)


 田中騎手がそう話す傍らでホッとした表情を見せたのは、管理する新井隆太調教師。

「いつもドキドキします。今回も本当に(田中)学さんに助けられました。先々を見越して、学さんに移籍初戦から騎乗依頼しているんです」

 とても細かな話になるのですが、新井厩舎は園田競馬場に厩舎を構え、田中騎手は西脇トレセンに所属。一般的には、園田の厩舎には園田所属の騎手が乗ることが多くなります。それは調教に乗れることや、普段から交流が多いため、そういった傾向になるのでしょう。もちろん、トップジョッキーはこの限りではないのですが、新井厩舎に田中騎手が乗るのは珍しいパターン。厩舎には主戦騎手もいますから、起用については葛藤もあったでしょうが、それだけ期待も大きいのでしょう。

 幼さを残しながらも、かなりのポテンシャルを感じさせるサラコナン。2歳王者・ツムタイザンもそろそろ復帰の予定で、直接対決が楽しみです。

古馬とも対戦済みのハルノインパクト


 高知の3歳は、世代最初の重賞・黒潮ジュニアチャンピオンシップを制覇したハルノインパクトと、年末の重賞・金の鞍賞を制覇したブラックマンバが有力どころ。

 高知競馬は番組賞金が一定額を超えると、普段は古馬混合のレースを走り、準重賞や重賞レースのみ同世代と走るというレース体系になっています。

 ハルノインパクトはすでに2歳9月から古馬に混じって走っており、古馬混合の初戦は10歳馬もいる中、勝利。ちなみにハルノインパクトは、母エーシンフォチュナが10歳の時の子ども。親子ほど年の離れた馬同士が走るのですから、面白いですね。

 今年は1月の準重賞・土佐水木特別で4着に敗れてしまったのですが、ハルノインパクトは調子が良くない時は跨ると背中を丸めるようで、

「土佐水木特別の時も『どうかな…?』という感じでした。馬が前向きじゃなくて、ずっと追い通しでしたね。次からは僕自身で調教をつけるので、それでどう変わるかですね」と展望を語った主戦の西川敏弘騎手。

 西川騎手自ら調教をつけるようになり、古馬との2戦をともに2着でまとめて挑んだ先週21日の重賞・土佐春花賞では4コーナーで先頭に立つと、リードを保って勝利しました。

「前走(2着)でだいぶ確信を持って、強くなっているなと感じました。スピードも乗ってきて、馬もやる気になっています。調教にも乗っているので、少しずつでも力をつけて世代ナンバーワンになれるようがんばりたいです」

馬ニアックな世界

▲4角先頭から押し切り勝ちを決めたハルノインパクト


馬ニアックな世界

▲高知生え抜き馬として今後の活躍に注目したい


 高知競馬では新馬戦を再開以降、ディアマルコ、フリビオンなど生え抜きから活躍馬が出ています。ハルノインパクトやブラックマンバも高知生え抜き馬。これからJRAや門別・南関東からの移籍馬が勢いをつけてくるでしょうが、高知生え抜き馬の活躍にも期待したいところです。

競馬リポーター。競馬番組のほか、UMAJOセミナー講師やイベントMCも務める。『優駿』『週刊競馬ブック』『Club JRA-Net CAFEブログ』などを執筆。小学5年生からJRAと地方競馬の二刀流。神戸市出身、ホームグラウンドは阪神・園田・栗東。特技は寝ることと馬名しりとり。

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