【皐月賞予想】日本で発展してきたファミリーが伝える底力に期待
ポイントはダービーで買いたい馬を「皐月賞でも主軸にすること」
春の2冠に挑戦のスケジュールは激変している。民間の育成・調教技術が、JRAのトレセンを上回るほど進展したこと。消耗を避ける日程が主流になり、最近5年間の皐月賞で3着以内に快走した15頭の、3歳になっての出走回数平均は「1.33」回にまで減った。今年も有力馬のほとんどが、年明け「1走」だけになる。
それだけならいいが、今年、皐月賞に至るステップはことごとくスローペースばかりだった。スローの方が能力(決定力)の差が如実に出るという一面はあるが、秘めるスケールも、レースレベルももうひとつ判明しない。
ところが、2冠目の日本ダービーになると、挑戦のパターンはストレートになる。最近10年、3着以内に快走した30頭中、20頭までを皐月賞出走馬が占める。3着までに平均2頭が入る計算。勝ち馬は10頭中の8頭が皐月賞好走馬か、人気だった馬に集中する。
春の2冠を前にした普遍の検討方法は、皐月賞の2000mにあまりとらわれず、ダービーで買いたい馬を「皐月賞でも主軸にすること」とされる。コースや展開、キャリアなどこだわって考えが変わると、両方ともに外れる危険が大きくなる。
最近10年間に4頭も直行の勝ち馬を送る2月の「共同通信杯1800m」は、前半は緩く流れたものの、後半1000mは「12秒3-11秒9-11秒5-10秒8-11秒5」=58秒0(上がり33秒8)だった。これを2馬身半差で完勝したエフフォーリアは、相手はともにまだ2戦目だったとはいえヴィクティファルス(次走スプリングS1着)、シャフリヤール(次走勝った毎日杯は1分43秒9)以下を完封し、ダービー候補の1頭となった。
同じく前半はスローだったが、後半1000m「12秒2-11秒8-11秒6-11秒1-11秒3」=58秒0(上がり34秒0)だった若葉S2000mを、3馬身差で圧勝したのはアドマイヤハダル(父ロードカナロア)。2着シュヴァリエローズはホープフルSでダノンザキッドと0秒6差の5着馬。立て直したアドマイヤハダルはまさに一変していた。
そのアドマイヤハダルは、跳びのきれいなストライドで、脚長のスレンダーな身体。馬場状態がどこまで持ち直すかがカギになり、コースも気になるが、ダービーでもエフフォーリアと互角以上の候補にしたい。少しでも馬場が回復して稍重程度なら皐月賞の時点から、この馬をダービー候補の筆頭に考えたい。
ディープインパクト産駒の母スウェアトウショウは体質が弱く早期に引退したが、その半姉はGI【3-3-1-7】のスイープトウショウ。大阪杯を制したレイパパレと同じように一世紀近くも日本で発展した牝祖セヴアインのファミリーで、母方に配されてきた種牡馬は「ディープインパクト、ダンシングブレーヴ、トウショウボーイ、ダンディルート、チャイナロック、ダイハード、セントライト…」。日本の生産界が育てあげたファミリーが伝えるタフな底力があるはずだ。
穴馬は、立て直しに成功したステラヴェローチェ。