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【フローラS】本番のオークスで好走できるか

  • 2021年04月26日(月) 18時00分

東京の2000mを乗り切った強みがあるフローラS組


 まだ、今週5月2日の「スイートピーS」は残っているが、オークスに結びつくレースがほぼ終了した。

 最近10年の「オークス」好走馬の直前レースは、

 1着馬「桜花賞…7頭、忘れな草賞…3頭」

 2着馬「桜花賞…4頭、フローラS…5頭、スイートピーS…1頭」

 3着馬「桜花賞…5頭、フローラS…3頭、忘れな草賞、皐月賞…ともに1頭」

 という記録になる。あくまで最近10年のことだが、それ以前も「桜花賞と直結」のパターンが多く、傾向はほとんど変わっていない。

 オークスで3着以内に快走した30頭のうち計「16頭」が桜花賞組。これに続くのが、今年はクールキャット(父スクリーンヒーロー)が快勝し、粘って2着のスライリー(父オルフェーヴル)が優先出走権を獲得したフローラS組の「8頭」になる。

 3着ユーバーレーベン(父ゴールドシップ)と、5着ウインアグライア(父マツリダゴッホ)は獲得賞金額から、オークス出走は可能と思えるので、この4頭のオークスでの可能性を考えたい。

 2010年、アパパネと同着1着だったサンテミリオン、その前は2001年のレディパステル以来、フローラSを直前のステップにしてオークスを勝った馬はいないが、8頭も2-3着に好走しているのだから、フローラS組に勝機がないわけではない。東京の2000mを乗り切った強みがある。

 勝ったクールキャットは、外枠を意識したC.ルメール騎手が「前の方でレースがしたかった」と振り返ったように少し気合を入れて好位の外につける作戦。「そうは切れないが、長く脚を使ってくれた」と続けたが、見た目とは違って前後半「60秒2-59秒2」=1分59秒4。かなり楽なペースで流れた結果、4コーナー手前からは「11秒3-11秒0-11秒5」=33秒8の高速上がりだった。クールキャット自身の最後の3ハロンは33秒4。

 大跳びで確かに鋭くはないが、ハロン11秒0が刻まれた地点で勝負を決めた。前半1000m通過地点では逃げたアンフィニドール(父モーリス)とは6馬身近く差があったから、クールキャットは後半1000mを推定58秒0-2くらいでまとめたことになる。

 ルメール騎手はアカイトリノムスメとのコンビでオークスに挑戦することが報道されているので、鞍上はチェンジするだろうが、折り合いは自在。昨年、フローラS1着→オークス2着のウインマリリンと同じスクリーンヒーロー(ジャパンC勝ち馬)産駒で、4代母メジロアイリス(父ヒンドスタン)は、菊花賞馬メジロデュレン、同じく菊花賞のほか天皇賞(春)を2勝しているメジロマックイーン兄弟の祖母でもある。近年、オークスの2400mを歓迎するタイプは少ない。この新星、おそらく距離不安はほとんどないと思える。

重賞レース回顧

オークスでも楽しみなクールキャット(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 2着に粘ったスライリー(父オルフェーヴル)は、確かにそう速くないペースに巧みに乗った石川裕紀人騎手の好騎乗もあるが、最後まで実にしぶとかった。距離は問わないオルフェーヴル(その父ステイゴールド)産駒で、5代母Toute Cyトゥートシ(FR)の半弟には1992年のジャパンC3着馬ディアドクターがいて、この牝馬は、凱旋門賞、2400m当時の仏ダービーなどG1 6勝馬Montjeuモンジューの祖母にあたる。スライリーはハデなタイプではないが、勝ったクールキャットと同じくサンデーサイレンスの「3×3」。タフな馬場コンディションになるとき、一段と粘り強さが生きる可能性を秘める。

 3着ユーバーレーベンは、条件賞金1000万円。ボーダーラインと思える。今回はいつものレースと異なり早めに中団の外に位置できた。ただ、直線に向いての反応が鈍く、最後に伸びて上がり最速の33秒2だが、脚を余した印象はなかった。惜しいレースが続いて、今回は454キロ。細くはみえないのでこれくらいが理想体重なのかもしれないが、2歳秋のアルテミスS時が484キロ(やや太め残り)。これで30キロも体重が変動したことになった。すでに6戦して【1-1-3-1】。意外性のあるゴールドシップ産駒なので、決して評価を落としたくないが、だんだん良くなっている…という成長カーブではないかもしれない。

 5着ウインアグライアは最内枠から4コーナーまでコースロスのない巧みなレース運びだった。直線少し詰まりかけたが、うまく進路を変えてがんばっている。ただ、ゴール寸前になって4着メイサウザンアワー(父ノヴェリスト)から2馬身半差。上位陣では見劣った形で上がり33秒9。この上がり勝負で離されたのは厳しい結果であり、若駒Sのように他馬が苦にする渋馬場が好走の条件か。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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