スマートフォン版へ

3歳戦線も層が厚くなったホッカイドウ競馬

  • 2021年05月18日(火) 18時00分

全国レベルの実力であることが証明された


 5月13日に行われたホッカイドウ競馬の3歳一冠目、北斗盃での直線人気3頭の追い比べにはシビレた。

 そのレースぶりもだが、3頭の実績を考えればこそだ。勝ったラッキードリームは、昨年第1回として行われたJBC2歳優駿(JpnIII)の勝ち馬。2着リーチはイノセントカップに、川崎に遠征しての鎌倉記念と重賞2勝。3着ソロユニットはエーデルワイス賞(JpnIII)を制した牝馬。3頭が、その実績に違わぬレースぶりを見せた。

 ホッカイドウ競馬は2歳戦の層が厚く全国レベルの馬も多数だが、シーズンが終わると実績馬の多くが中央や南関東に移籍してしまうのが常だった。それゆえ3歳戦線は、2歳シーズンのトップクラスの馬が抜けたメンバーでの争いになることが多かった。

 ところがここ5〜6年だろうか、2歳時の重賞勝ち馬や活躍馬でも、門別にとどまったり、またシーズン終了後に南関東に移籍しても3歳シーズン開始とともに門別に戻って来る馬が目立つようになってきた。

 中央と交流になって以降の北海道2歳優駿(現・JBC2歳優駿)やエーデルワイス賞を制したホッカイドウ競馬所属の馬が、北海道の3歳三冠路線に出走したことがこれまであっただろうか。と思って調べて見たところ、エーデルワイス賞の勝ち馬では99年のリードスキーが翌年の北斗盃、王冠賞に出走して、ともに7着。北海道2歳優駿の勝ち馬では、同じく99年のタキノスペシャルが翌年の北海優駿に出走して2着という記録があった。どちらのレースからも、その勝ち馬が3歳三冠路線に出走したのは、じつに21年ぶりのことだった。

 門別でデビューした強い2歳馬が、3歳時にもまたホッカイドウ競馬で走るようになったのにはいくつか理由が考えられる。

 まずは3歳三冠にボーナスが設定されたこと。もうひとつは「初出走がホッカイドウ競馬で、他場所属で出走した3歳以上馬が、新年度、ホッカイドウ競馬に所属して第1開催から4開催までに出走した場合」に、輸送費の補助が支給されるという制度ができたこと。これによって、北海道に戻ってくる馬が多くなったこともある。

 さらに、馬券の売上げとともに賞金や出走手当が上がったことも大きいだろう。たとえば北海優駿の1着賞金は、2007年から長く500万円が続いていたが、19年には700万円、そして昨年から1000万円となった。ある程度の素質馬であれば、より賞金の高い中央や南関東へ移籍してと考えるのは自然なこと。ただ当然のことだが、レベルも高くそこで活躍するのは容易なことではない。しかし賞金や出走手当が上昇しているいまなら、無理して中央や南関東へ移籍せずとも、ホッカイドウ競馬にとどまろうという選択も悪くはない。

 ここ何年か、好調な馬券売上に加えて、さまざまな施策がうまく噛み合ったことで、今回の北斗盃には充実のメンバーが揃ったと想像できる。

 さて、二冠目の北海優駿(2000m)となると、北斗盃1〜3着だった実績馬の再戦は、距離適性面で難しいかもしれない。ラッキードリームは1800mのJBC2歳優駿を勝っているだけに、むしろ距離延びてよさそうだが、2着リーチ、3着ソロユニットは1600mがギリギリと思われる。

 ただいずれも全国レベルの実力であることは今回のレースでも示されたとおり。今後もそれぞれの路線での活躍は期待できそうだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング