どの馬にとってもほぼ能力を出せそうな前半1000m通過60.0秒の平均ペースで流れたこと。その結果が、1分47秒4のきさらぎ賞レコードに相当する好時計となり、紛れの要素が極めて少ないレースと考えられること。
勝ったドリームパスポートはこれまで2度もフサイチリシャールの2着があり、かつ、少なくともこの世代のトップ3には入っている(現在のところ)マルカシェンクと2000mで接戦の2着した馬であること。
さらには、2着したメイショウサムソンもフサイチリシャールの2着時に1800m1分47秒3で乗り切り、中京1800mを1分47秒5のレコードタイムで勝った馬だったこと。もうひとつ、全体レベルの明らかに高い関西のレースであったことからして、この1800mのGIIIは、非常に大きな意味を持ち、この世代のクラシックのステップレースの中で、もっとも能力比較の基準になるポイントのレースとなったかもしれない。
特に、勝ったドリームパスポートは、対フサイチリシャールや、対マルカシェンクとのレース内容からみて、これ自身がクラシック路線有力馬の1頭となったと同時に、様々な角度からみて、この世代のクラシック候補の「能力基準」になる馬と考えてもいいだろう。ドリームパスポートよりランク(能力)の上の馬が有力候補で、ドリームパスポートより能力が下と見られる馬はちょっと苦しい。まだまだ修正や変更は必要になるが、とりあえずはこの世代の尺度になる馬とレースがみえた形だ。父フジキセキの産駒は、最初の頃より、最近の産駒の方が距離適性の幅を増し、底力のある馬が多くなったようなところがある。ドリームパスポートの場合ステイゴールドが代表する牝系の出身で、サッカーボーイ、バランスオブゲームも近親馬。あまり崩れることのないタイプともいえる。
ワンランクアップに期待したグロリアスウィーク、マイネルスケルツィは結論が出た訳ではないがやや後退し、アドマイヤメインは2歩ぐらい下がった形となった。
ダイヤモンドSはレコード。3200m通過が3分17秒7だから、比較の難しい距離だが中身は濃い。この距離ながら「13秒台」のハロンが1つもなかった。最後、止まった馬が大半だったところから、底力とスタミナが求められた3400mだっただろう。そして、長距離戦はまたまたダンスインザダーク産駒の、それも1、2、5着だった。54kgの軽ハンデだったとはいえ、マッキーマックスは天皇賞(春)の有力馬に加わった。再三の脚部難で出世は遅れたが、遅まきながらいま本格化だろう。牝系からは最近、イングランディーレが出たばかりだ。