ドイツが誇る名牝系出身の2頭に注目
GI6勝目(マイルGI5勝目)を狙う断然人気のグランアレグリア(父ディープインパクト)。ヴィクトリアマイルの再現なら確勝級に近いが、小さな死角はある。回復しかかった馬場に、予想以上の降雨は軽快なスピード型だけにマイナスはある。もう一つは巷間ささやかれる初の中2週での出走。それが東京の1600mであることか。東京の1600mを速いタイム(あるいは高速上がり)で乗り切ると、まったくの楽勝に映っても目に見えない負担がかかっている。
5月の東京にヴィクトリアマイルが創設されて昨年まで15回、日本ダービーを3馬身差で圧勝した女傑ウオッカは2008、2009年にVマイル→安田記念を「2→1着」「1→1着」したタフな記録がある。だが、当時より決着タイムはずっと速い。この日程に挑戦したウオッカ以外の延べ23頭の安田記念は、アーモンドアイ、リスグラシュー、アエロリット、アパパネ…など【0-3-1-19】。昨年、生涯にただ一度だけ中2週に挑戦したアーモンドアイは、この日程がこたえたと考えられた。
グランアレグリアの、ことマイル戦での能力はウオッカ以上とも思える。だから文句なしにリスペクトしながらも、逆転可能な馬も探したい。
4歳サリオス(父ハーツクライ)は怖い。こちらも体調に不安なしかとなると、やや順調さを欠いた面もあるので半信半疑だが、2走前のマイルCSはあまりに控えすぎたのが敗因。後方から大外に回って届かなかったが、楽勝だったグランアレグリアと互角以上の上がり33秒1で伸びている。前走の大坂杯5着は重馬場の2000mが敗因。
ここまでは未完成の巨漢馬だったが、2014年の安田記念馬ジャスタウェイ、今回対戦するカテドラル、前出のリスグラシューなど、古馬になり再び成長の上昇カーブを描くのがハーツクライ産駒。陣営もチャンピオン牝馬グランアレグリアがいるからこそ、ここへの出走を熱望していた。
サリオスは、3歳シュネルマイスター(父Kingmanキングマン、母セリエンホルデ)と同じくドイツの誇る名牝系出身。3代母は同じザルデなので、独オークス馬の母サロミナと、同じく独オークス馬の母セリエンホルデはいとこ同士。快速系ではないが、サリオスは昨秋の毎日王冠を初の古馬相手に楽勝するなど、東京コース【3-1-0-0】。最後に苦しくなる東京のマイル戦で、前回のシュネルマイスターが示した一族の底力が生きてくる。
サリオスから、もちろんグランアレグリアが強敵。穴馬には、このメンバー相手なら3歳時の毎日王冠と同様の差す形になると思えるダノンキングリーを加えたい。