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【レパードS】ベテラン騎手の教えが結果に繋がり重賞初制覇

  • 2021年08月09日(月) 18時00分

これからさらなるパワーアップが期待できる


 初めてジャパンダートダービーの5着以内馬がいない組み合わせで、ユニコーンSの5着以内馬も不出走だった。レース展開が読みにくく、難しい結果を予感させた。

 内枠のレプンカムイ(父キズナ)が先手を主張したペースは、途中で落ち着いて前半1000m通過「61秒4」。ここ2年ほど速くなく、今年で13回の平均的な流れ。勝ち時計の「1分51秒3」もレパードSのちょうど標準の決着タイムだった。

 1番人気のメイショウムラクモ(父ネオユニヴァース)は、揉まれない外枠を引いたのがプラスなら、デキの良さも際立っていた。ペースの落ち着きかけた1コーナーすぎで注文通り好位の外につけ、そこからは終始スムーズ。

 前半1000m通過のペースが思われたより速くないので、後半「49秒9-37秒3」。前回の福島ダート1700mを1分44秒3で後半に引き離したスピード能力が全開した。実績上位というオープン馬はいなかったが、メイショウムラクモの安定した先行力はここでは一枚上だった。

重賞レース回顧

重賞初制覇のメイショウムラクモ(C)netkeiba.com、撮影:橋本健


 これでJRA重賞最年長勝利記録を更新したベテラン柴田善臣騎手(55)とのコンビでの成績は【4-1-0-0】。開業4年目で重賞初制覇の和田勇調教師が「善臣さんが教えてくれて走るようになった」というのは本当で、巡り合わせもあるだろうがほかのジョッキーだとまだ連対がない。ライトフレームの一族で、5代母トクノパーシアは2冠馬キタノカチドキの半妹。これからさらにパワーアップが期待できる。

 10番人気で2着に激走したスウィープザボードは、レッドファルクスのようなスプリンターから、リッジマンのようなステイヤー型までさまざまなタイプを送る種牡馬スウェプトオーヴァーボード産駒。休み明けながら、直前にビシビシ追って絶好の仕上がりだった。この馬はオメガパフューム型(ダートの中距離ベスト)なのだろう。

 3着レプンカムイは、2着確保かと見えたシーンもあったが、前回のダート1700m1分41秒6、前々回1800m1分50秒7の時計が示すように、もっと時計の速いコンディション向きということか。早めに勝ち馬にこられたのも痛かった。

 追い込んできた伏兵ハンディーズピーク(父マジェスティックウォリアー)は、「流れは速くなる可能性が大きい」と注文をつけた後方追走だったと思えるが、残念ながら流れは速くならなかった。上がりは勝ち馬と並んで最速タイの37秒2だった。

 同じような位置にいたノースザワールド(父ディープインパクト)も今回は明らかに展開不利だった。ともに上がり馬らしい好気配だったので、この2頭、次回は侮れない。

 2番人気ルコルセール(父ロードカナロア)は、いつもスタートが良くない馬だが、今回も出負けして馬群にもまれてしまった。ブリンカー装着馬なので、外から次々に来られる展開になっては苦戦。途中で戦意喪失となった。

 3番人気オセアダイナスティ(父オルフェーヴル)は、先行馬ペースに乗って勝ち馬の直後にいたが、後方の馬に差されてしまった。現状ではパンチ不足か。

 前回、小倉ダート1700mを1分41秒4の快レコード勝ちのホッコーハナミチ(父ホッコータルマエ)は、好馬体が光ったが、ダートの渋馬場なら【2-1-0-0】でも、現時点ではパワーもう一歩なのだろう。締まって走りやすいダート向きに映った。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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