これからさらなるパワーアップが期待できる
初めてジャパンダートダービーの5着以内馬がいない組み合わせで、ユニコーンSの5着以内馬も不出走だった。レース展開が読みにくく、難しい結果を予感させた。
内枠のレプンカムイ(父キズナ)が先手を主張したペースは、途中で落ち着いて前半1000m通過「61秒4」。ここ2年ほど速くなく、今年で13回の平均的な流れ。勝ち時計の「1分51秒3」もレパードSのちょうど標準の決着タイムだった。
1番人気のメイショウムラクモ(父ネオユニヴァース)は、揉まれない外枠を引いたのがプラスなら、デキの良さも際立っていた。ペースの落ち着きかけた1コーナーすぎで注文通り好位の外につけ、そこからは終始スムーズ。
前半1000m通過のペースが思われたより速くないので、後半「49秒9-37秒3」。前回の福島ダート1700mを1分44秒3で後半に引き離したスピード能力が全開した。実績上位というオープン馬はいなかったが、メイショウムラクモの安定した先行力はここでは一枚上だった。
重賞初制覇のメイショウムラクモ(C)netkeiba.com、撮影:橋本健
これでJRA重賞最年長勝利記録を更新したベテラン柴田善臣騎手(55)とのコンビでの成績は【4-1-0-0】。開業4年目で重賞初制覇の和田勇調教師が「善臣さんが教えてくれて走るようになった」というのは本当で、巡り合わせもあるだろうがほかのジョッキーだとまだ連対がない。ライトフレームの一族で、5代母トクノパーシアは2冠馬キタノカチドキの半妹。これからさらにパワーアップが期待できる。
10番人気で2着に激走したスウィープザボードは、レッドファルクスのようなスプリンターから、リッジマンのようなステイヤー型までさまざまなタイプを送る種牡馬スウェプトオーヴァーボード産駒。休み明けながら、直前にビシビシ追って絶好の仕上がりだった。この馬はオメガパフューム型(ダートの中距離ベスト)なのだろう。
3着レプンカムイは、2着確保かと見えたシーンもあったが、前回のダート1700m1分41秒6、前々回1800m1分50秒7の時計が示すように、もっと時計の速いコンディション向きということか。早めに勝ち馬にこられたのも痛かった。
追い込んできた伏兵ハンディーズピーク(父マジェスティックウォリアー)は、「流れは速くなる可能性が大きい」と注文をつけた後方追走だったと思えるが、残念ながら流れは速くならなかった。上がりは勝ち馬と並んで最速タイの37秒2だった。
同じような位置にいたノースザワールド(父ディープインパクト)も今回は明らかに展開不利だった。ともに上がり馬らしい好気配だったので、この2頭、次回は侮れない。
2番人気ルコルセール(父ロードカナロア)は、いつもスタートが良くない馬だが、今回も出負けして馬群にもまれてしまった。ブリンカー装着馬なので、外から次々に来られる展開になっては苦戦。途中で戦意喪失となった。
3番人気オセアダイナスティ(父オルフェーヴル)は、先行馬ペースに乗って勝ち馬の直後にいたが、後方の馬に差されてしまった。現状ではパンチ不足か。
前回、小倉ダート1700mを1分41秒4の快レコード勝ちのホッコーハナミチ(父ホッコータルマエ)は、好馬体が光ったが、ダートの渋馬場なら【2-1-0-0】でも、現時点ではパワーもう一歩なのだろう。締まって走りやすいダート向きに映った。