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寂寥感を吹き飛ばす白熱のマッチレース

  • 2021年09月15日(水) 18時00分

「最後は馬の力と根性で勝ってくれました」


 緊急事態宣言延長を受け、ホッカイドウ競馬も今月末まで無観客開催になっている。去る9日、第7回旭岳賞が行われたが、久々にパドックやスタンドに観客のいない風景を目の当たりにして、何とも気持ちが沈んできた。

 先月まではたとえ上限500人であっても、馬券を手にして、熱心にレースを見ながら応援するファンの姿があったので、なおのこと寂寥感が漂う。致し方ないことだが、無人のパドックを黙々と馬たちを引く厩務員の表情もどことなく暗さが漂っていた。

生産地便り

▲緊急事態措置の実施に伴い無観客開催となった旭岳賞


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▲観客のいないパドックは寂しげに映る


 さて旭岳賞。サラ系3歳以上オープンクラスによる重賞である。ホクレン杯の冠名がつき、またJBC協会より1着馬の生産牧場に対してブラックタイドの交配権利が贈られる。距離2000m。1着賞金500万円。出走馬は8頭。馬場状態は不良。

 レースは、リンノレジェンド(石川倭騎手)、ピラミッドムーン(阿部龍騎手)が先行し、それにリコーワルサー(山本咲希到騎手)が続く。向正面ではこの3頭がリードし後の5頭との間がかなり空く展開となった。

 向正面から3コーナーにかけて、先行するリンノレジェンド、リコーワルサーと後続馬との差が徐々になくなり、4コーナーでは外からサンビュート(五十嵐冬樹騎手)、内からクインズサターン(落合玄太騎手)がリコーワルサーに追いつき、直線に入るとリンノレジェンドが少しずつ後退していく。

 直線残り200mで、内クインズサターン、外サンビュートが抜け出し、リコーワルサーが徐々に離されて行く。最後は完全にマッチレースとなり、わずかに内のクインズサターンがサンビュートにアタマ差で先着し、優勝した。その後は3馬身差でリコーワルサーが3着。さらに5馬身離れて4着にリンノレジェンド。5着クラキングスと確定した。

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▲2頭によるマッチレースは僅かにクインズサターン(左)に軍配が上がった


 勝ったクインズサターンは、父パイロ、母ケイアイベローナ、母の父クロフネという血統の牡8歳芦毛馬。落合玄太騎手が騎乗。安田武広厩舎所属。馬主は亀田和弘氏。生産は新ひだか町・佐竹学氏。通算成績は中央時を含め42戦11勝2着6回3着7回。獲得賞金は付加賞を加えて2億997万3000円。

 クインズサターンは昨年夏にホッカイドウ競馬に移籍してからちょうど1年経つが、門別では7戦6勝2着1回とほぼ完ぺきな成績を残している。この間、二度の遠征があり(2020年11月25日浦和・浦和記念、2021年7月20日盛岡・マーキュリーカップ)、いずれも8着に敗退しているが、ホッカイドウ競馬の古馬陣では依然として実力が一枚上であることを今回改めて証明した形となった。

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▲門別で圧倒的な成績を残すクインズサターンが重賞3勝目を飾った


 騎乗した落合玄太騎手は「最後は馬の力と根性で勝ってくれました。攻め馬でも今シーズン一番の出来でしたし、不良馬場も気にしていませんでした。この後、道営記念に連覇を目指して調整していくことになりますので応援よろしくお願いします」とレース後のインタビューに答えていた。

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▲「最後は馬の力と根性で…」と相棒をねぎらった落合玄太騎手


 また管理調教師の安田武広調教師は「嬉しいです。体調は今年で一番良かったです。こういう馬場だったのでそこが一番心配でしたが、落合玄太騎手が手の内に入れているので安心しておりました」と語り、「最終目標は道営記念に連覇ですのでそこに向けてできることをやって行きたいと思っております」とコメントしていた。

 ところでこの9月9日で、門別開催は第11回を終了したことになる。春の開幕以来、これで計58日を消化し、ここまでの売り上げは手元の計算によると、合計365億187万5270円。1日平均では約6億2934万円である。このままのペースを堅守できれば、年間520億円を売り上げた昨年の数字に並ぶくらいにはなりそうだ。

 残り12回〜15回と、4開催で24日間ある。何とかこの勢いを保ったまま、最終日まで開催を続けられるようにと願うばかりだ。

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岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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