クラシック上位馬不在の今年は波乱の可能性も
牝馬3冠目の秋華賞2000mは未知の距離ではない。男馬の菊花賞3000mの路線と異なり勢力図の一変はない「オークス→ローズS→秋華賞」の関連はきわめて強力。
最近10年、ローズSの勝ち馬は8頭までがオークス出走馬。3着以内に好走した30頭のうち、約半数の14頭がオークス出走馬でもある。
また、秋華賞で3着以内の30頭には、オークス出走馬が19頭もいて、トライアルのローズSを直前のステップにした馬が15頭いる。ローズSは、本番に直結する。
ただ、近年は有力馬の出走スケジュールが変化し、2018年、2020年に続き、今年のローズSには「オークスの上位馬3頭も、桜花賞の上位馬3頭」も不在。かつてはあり得なかった組み合わせになっている。そのため、2018年の3連単は22万円台の波乱、2020年の3連単は113万円台の大波乱だった。
勝ち馬はオークス組なので、今年はオークス4着タガノパッション、5着アールドヴィーヴル主軸が無難なアプローチだが、2018年にはオークスを13着に大敗したカンタービレがローズSを勝っている。6番人気のオークスで14着に沈んだクールキャット(父スクリーンヒーロー)の巻き返しに期待したい。
ここまで【2-0-0-4】の成績が示すようにちょっと難しいタイプ。オークスは自身の前後半バランス「1分12秒5-1分13秒7」=2分26秒2。ペースは少しきつい程度だが、初めて先手を取ったレース運びに余裕とリズムがなかった。
今度は差す形で2戦2勝のルメール騎手とのコンビが復活した。行きたいエイシンヒテンなどもいるので、フローラSを勝った時と同じように好位差し作戦と思える。関東の牝馬に初めての関西遠征は大きな死角だが、今年のローズSは中京。おそらく直前輸送での負担は少ない。落ち着いて臨めるだろう。
父スクリーンヒーローは、4歳秋に大変身してジャパンCを制している。ファミリーは、3代母メジロツシマが、3歳秋の菊花賞制覇を出発に、のちに大活躍したメジロデュレン、メジロマックイーン兄弟の母メジロオーロラの半姉になる。
半兄トリオンフ(父タートルボウル)は、重馬場の芝2000m(京都)を好位抜け出しで圧勝の星がある。馬場の回復が遅れても心配は少ない。
オークス4-5着馬以外では、アンドヴァラナウト、タガノディアーナだが、渋馬場巧者と思えるプリュムドール、ストゥーティ、イリマを相手に加えたい。