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【エリザベス女王杯】ここは死角を探すよりも長所に着目して…

  • 2021年11月13日(土) 18時00分

距離に対する適性十分、父系の成長力も武器になる


 予測されていた以上に上位馬の人気が割れた。3歳以上の2200mになって過去25回、微妙な距離の牝馬限定戦なので上位「1、2、3」番人気の組み合わせで決着したことは、ダイワスカーレットを筆頭の名牝が揃っていた2007年の一度しかない。今年は、人気馬の死角も案外大きい。

 絶好枠を引いたレイパパレは、逆に正攻法の先行策を余儀なくされることとなった。楽に行けたのに差されたオールカマー2200mと状況は同じではないのか?

 アカイトリノムスメの現3歳馬全体のレベルは高いが、GIのオークス2400mと、前日の2勝クラスに1秒1も見劣った秋華賞はかなり平凡な内容ではないのか?

 ウインマリリンはこの中間、陣営も認める脚部が腫れる不安が生じた。回復してはいるが、レイパパレを封じたオールカマー時のデキにはないのではないか?

 人気馬には明らかな死角がある。伏兵を狙いたいが、逆転したい穴馬には秘める能力そのものにかなり問題があるのではないのか?

 ただし、近年の強いとされる牝馬とて案外な弱みを見せるのが牝馬同士の一戦であり、ここは頂点のビッグレース。死角を探し合うより長所に注目したい。

 体調に死角はあっても、そのことは承知でスタミナ兼備のウインマリリンから入りたい。全5勝が2000m以上。日経賞2500mも、オールカマー2200mも実力馬相手に、2戦ともに正攻法の好位差しだった。3歳だった昨年のエリザベス女王杯は2分10秒7の好時計で小差4着。この距離に対する適性で上回る。

 父スクリーンヒーローは、4歳秋に「アルゼンチン共和国杯→ジャパンC」の連勝を決めた。その父グラスワンダーも、GIを2勝した4歳秋が一番強かった。

 父系の最大長所の成長力を持ち味にする産駒が多く、4歳後半から有馬記念を含め5連勝したゴールドアクター。4歳後半からGIを4連勝もしたモーリスが代表格になる。ウインマリリンもそのパターンに入っている。前走、レイパパレを封じたオールカマーの2分11秒9は時計以上の好内容であり、坂で狭くなり一度手綱を引きながら、間を割って上がり35秒1で抜け出す勝負強さだった。

 レイパパレ、アカイトリノムスメの評価を下げるわけではないが、相手を手広くしたい。

 毎回スローに泣いてきたクラヴェルの横山典弘騎手は、エリザベス女王杯6回連対の最多連対記録を持っている。イン強襲も可能な枠を引いた。伏兵ステラリア、ランブリングアレー、ウインキートス、ソフトフルートを連穴候補にしたい。

 まだ2週目の福島の芝は良好。「福島記念」のココロノトウダイは福島の芝1800-2000mで3勝しているが、今回と同じインの「2番、1番、1番」枠だった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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