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【ジャパンC予想】若きダービー馬が秘める能力を発揮する時

  • 2021年11月27日(土) 18時00分

一方で先輩ダービー馬など侮れない馬も多数


 史上初めて4世代の日本ダービー馬が、同じ東京2400mのジャパンCで対決する。自国のダービーが4頭もそろうなど、世界でも初めてと思われる。

 ジャパンCが創設されて過去40回。コントレイルと同じ牡馬3冠馬は、1985年にシンボリルドルフ、2006年に父のディープインパクトが勝っている。ともに無敗の3冠馬だった。

 目下3連敗中とはいえ、コントレイルが一歩リードは間違いないが、シンボリルドルフも、ディープインパクトも、引退まで連敗などしたことはなかった。

 若い3歳シャフリヤール(父ディープインパクト)の、さらに強くなるはずの可能性と秘める能力に注目したい。

 馬場差もペースの違いもあるが、ダービーレコードの2分22秒5=(前後半1分12秒7-1分09秒8)だったシャフリヤール=エフフォーリアは時計以上にすごかった。一方、コントレイルの日本ダービーは、2分24秒1=(1分13秒5-1分10秒6)。

 キセキが飛ばした2020年のジャパンCは2分23秒0の決着。前後半は「1分09秒4-1分13秒6」。2着コントレイルは2分23秒2だった。

 シャフリヤールは、強豪ぞろいだった昨秋のジャパンCより、前半1200mが3秒3もスローだった今年のダービー馬。だから後半1200mが1分09秒8の高速決着になったが、この流れを上がり33秒4の加速で猛然と差し切っている。

 内寄りから先に抜けたエフフォーリアより4コーナーではかなり外になり、そのうえエンジン全開が遅れたシャフリヤールだが、坂上から信じがたい爆発力で強襲する。

 必勝態勢に持ち込んだエフフォーリアは、鈍ることなく最後「11秒6」だった。もたついて残り200mでまだエフフォーリアより3馬身近くも後ろの馬群にいたシャフリヤールは、そこから一気に伸びて推定ハロン「11秒1」だった。厳しいダービーレコード2400mのレースでこの切れはすごいというしかない。

 ダービーをハナ差2着の2分22秒5だったエフフォーリアは、2連敗中とあって必勝態勢だったはずのコントレイルを、天皇賞(秋)で、ダービーと同じようなレースで封じた。

 コントレイルの位置取りが悪かったという見方も出たが、4コーナーではエフフォーリアの直後にいたのがコントレイルであり、実際はエフフォーリアの完勝だった。

 まだ未完成で、明らかにキャリア不足の3歳馬シャフリヤールがダービーと同じように伸びる保証はどこにもない。一方、これで種牡馬入りのコントレイルは、なんとしても勝ちたい。まさか4連敗のまま引退など…、生産界の評価は厳しくなる。

 さらに上昇しているオーソリティ、菊花賞でコントレイルを追い詰めたアリストテレス、変身したシャドウディーヴァ、ムーア騎手のブルームなど、侮りがたい怖い馬は複数いるが、2020年の日本ダービー馬コントレイルと2021年のシャフリヤールの対決は、これが最初で最後になる。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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