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【ステイヤーズS予想】信頼性の高い馬不在で快走の魅力ある伏兵に期待

  • 2021年12月03日(金) 18時00分

伏兵狙いに徹するなら近2年穴をだしている先行脚質


 距離短縮の流れによって、長距離戦のレベルは低くなり、大物ステイヤーはめったに出現しない。この3600mのレコードは四半世紀も前の1994年、エアダブリンによる3分41秒6。2015年から3連覇を達成したアルバートが2017年に近年では破格の3分43秒0で快勝したが、最近10年で3分43秒台は1回だけ。ほかにハイレベルを裏付ける長距離戦らしい時計は記録されたことがない。

 机上の計算だと、前後半の1800mをともに「1分51秒前後」でがんばるとレコードと互角のタイムになる計算だが、強気に行くと失速の危険は大きく、冒険の先手は主張しにくい。ただし、前半をそれなりのペースで行きそうな人馬には要注意だ。

 復活快走の魅力は7歳セダブリランテス(父ディープブリランテ)にある。長期休養期間が合わせて49カ月(約4年)にも及び、7歳秋ながらまだ10戦【5-0-1-4】。2戦続けて出走できること自体が珍しい。3週連続して長めから追えた今回は一変がありえる。

 4分の3同血の兄モンドインテロ(父ディープインパクト)は2019年のこの長距離GIIを、先行策で勝っている。6番人気で、時計は平凡だったが…。

 祖母トロピカルサウンドIIは、ナリタブライアン=ビワハヤヒデ兄弟の母や、ファレノプシス=キズナ姉弟の母と姉妹の関係になる名牝系であり、一族の代表馬キズナ(ディープボンド、アカイイトなどの父)が示すように早熟系ではない。セダブリランテスは休み休みの出走で4歳の春まで【4-0-1-0】。重賞を2つも制する注目馬だった。

 信頼性の高い馬はいない。伏兵狙いに徹するなら、昨2020年は先手を奪って2着、2019年も逃げ粘って3着。伏兵を好走に導いているのは津村騎手。先行できるバレリオ(父ステイゴールド)は侮れない。2走前には先手を奪っている。

 また、連対8回がすべて2400m以上のディバインフォース(父ワークフォース)は、5走前の2600mは2分35秒8の阪神レコード(当時)。日本レコードとも0秒7差だった。ディバインフォースの母の弟ルックトゥワイス(父ステイゴールド)は、2019年の目黒記念2500mを2分28秒2のJRAレコードで勝っている。

 父ワークフォースは残念ながらJRA重賞勝ち馬を送れないままアイルランドに再輸出されたが、菊花賞3000m4着のディバインフォースがこれから活躍する可能性は残る。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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