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【阪神JF】新種牡馬たちはどう新しい風を吹かせるか

  • 2021年12月11日(土) 12時00分

父馬のイメージから探るのも2歳GI戦のポイント



 今年の2歳世代はどうなのか、大きな可能性を秘めている若駒たちを、今の段階でこうだと決めつけることは出来ないが、この時期のテーマのひとつではある。今後どう成長していくか、それを見極めるのが大切と思いながらも、まず目に入ってくるのはそれぞれの馬たちの父馬の欄だ。

 阪神ジュベナイルFの出走馬の中で、今年産駒をデビューさせている新種牡馬たちには、その中でも、特に関心が強い。どう新しい風を吹かせるか、2歳戦ならではの楽しみと言っていい。

 12月5日現在で新種牡馬28頭のうち勝ち馬を出したのは16頭。その中で米国産のドレフォンが25勝でトップに立っている。芝で10勝、ダートで15勝と距離に関係なく幅広く勝っているが、BCスプリントなど米国でダート短距離G1を3勝し、早熟のスピード血統というイメージにふさわしいと言っていいだろう。

 これに続くのが、キタサンブラック、シルバーステートの13勝、そしてイスラボニータの12勝となっている。阪神ジュベナイルFには、シルバーステート産駒のウォーターナビレラとロゴタイプ産駒ラブリイユアアイズの2頭が新種牡馬を父に持っている。この2頭の父馬のうち、ディープインパクト産駒のシルバーステートは、特に種牡馬としての期待が大きい。

 現役時代は、2度の屈腱炎で5戦4勝2着1回のみに終っていたが、2歳時にレコード勝ちがあるなど「未完の大器」と呼ぶにふさわしかったので、その産駒には特に注目してみたい。これまで13勝の内容は、全てが芝での勝利でその距離も1200米から2000米までと幅が広い。

 高い素質を秘めていると言ってよく、ウォーターナビレラはその先陣を切っている。これまで3戦3勝、全てが異なるコースの異なる距離を勝っていて、レースセンスがあって2歳女王にふさわしい1頭だ。

 もう一頭の新種牡馬ロゴタイプは、皐月賞馬でも成長とともにマイラーらしい体つきになり、古馬になって安田記念を勝っていた。勝ち馬はここに出ているラブリイユアアイズ一頭だけで、同馬の2勝は1200米と1500米、早期から活躍した父の姿を追っていると言っていい。

 他の出走馬の父馬を見ると、現在31勝で一番勝っているディープインパクトは、1800米と2000米で22勝。ドゥラメンテは23勝していて、マイルと1800米で18勝、ロードカナロアは22勝していてマイル以下で18勝とそれらしい成績と読み取れる。

 あと19勝でハービンジャー、18勝でエピファネイアが続いているが、距離という点ではマイルが中心のエピファネイアに対し、ハービンジャーは2000米が一番勝数が多い。こう見てくると、ベルクレスタ、ステルナティーア、サークルオブライフ、ナミュールも、今年は2歳女王候補と言っていいのか。父馬のイメージから探るのも2歳GI戦のポイントになる。

「駈けめぐる 枯れ野の向こう 春の花」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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