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【フェブラリーS AI予想】レースの傾向からも魅力十分! AIの指名した伏兵に注目

  • 2022年02月14日(月) 18時00分

単勝オッズ51.5倍(12番人気)のアフリカンゴールドが京都記念を制する(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

単勝1番人気馬が8年連続で3着以内を確保


AIマスターM(以下、M) 先週は京都記念が行われ、単勝オッズ51.5倍(12番人気)のアフリカンゴールドが優勝を果たしました。

伊吹 お見事というほかありません。スタート直後から積極的にハナを切り、概ね1〜2馬身ほどのリードを保ちながら馬群を先導する展開。ゴール前の直線に入っても脚色は衰えず、危なげなく逃げ切りました。強い競馬だったと言って良いのではないでしょうか。

M 2着には単勝オッズ22.7倍(8番人気)のタガノディアマンテが、3着には単勝オッズ8.3倍(6番人気)のサンレイポケットが食い込み、3連単67万9100円の高額配当決着となりました。伊吹さんは前回「単勝7番人気以下だったにもかかわらず3着以内となったのは2009年3着のヴィクトリー(単勝9番人気)が最後、単勝7番人気以下だったにもかかわらず優勝を果たしたのは2003年1着のマイソールサウンド(単勝8番人気)が最後」というお話をされていましたが……。

伊吹 久々に荒れましたね。もちろん、どんなレースでも前評判の低い馬が上位に食い込む可能性はあるわけで、波乱が起きたこと自体には驚いていません。実際、私自身も単勝7番人気以下の馬を軸にしていましたからね。ただ、これだけ堅い決着が続いている珍しいレースだったわけですから、できれば「今年は荒れる」とはっきり予言したかったです。

M 道悪であったり、先行馬が極端に少ないメンバー構成であったりと、波乱の決着に繋がりそうな要素はいくつかありましたよね。

伊吹 おっしゃる通り。それに加え、前回も指摘したように、今年は例年の京都記念で好走馬の大半を占めていた「GIで上位に食い込んだことのある馬」が少なめでした。1〜3着の3頭はいずれも既にGIIで馬券に絡んだことがあった馬。今年のメンバー構成ならもう少し高く評価すべきだったと反省しています。

M 今週の日曜東京メインレースは、今年最初のJRAGIとなるフェブラリーS。昨年は単勝オッズ3.3倍(1番人気)のカフェファラオが優勝を果たしました。

伊吹 前走の2020年チャンピオンズCで6着に敗れていたこともあり、半信半疑という方も少なくなかったはずですが、危なげなく勝ち切りましたね。スタートはそれほど早くなかったものの、難なく好位のポジションを確保し、ゴール前の直線で悠々と抜け出す教科書通りの競馬。その後のレースでは結果を出せていないものの、少なくともこの時点では、能力的に頭ひとつ抜けた存在だったと見て良さそうです。

M その2021年は3連単の配当が10万1710円。波乱の決着も珍しくないレースという印象ですが、実際のところはどうでしょう?

伊吹 私も同じようなイメージを持っていましたが、上位人気馬が総崩れという年はさすがに多くありません。単勝1番人気馬は3連勝中ですし、ここ8年連続で3着以内に好走しています。


M 単勝2〜3番人気馬も過去10年の3着内率が40.0%。決して高くはありませんが、低過ぎるということもないという水準です。

伊吹 ただ、単勝4〜6番人気の馬がやや苦戦している点は気になりますね。もう少し細かく区切ってみると、単勝10番人気以下の馬は2012年以降[1-1-0-66](3着内率2.9%)とあまり上位に食い込めていないものの、単勝7〜9番人気の馬は2012年以降[1-2-4-23](3着内率23.3%)。人気順で真ん中あたりに来るくらいの、妙味ある伏兵を積極的に狙うのもひとつの手でしょう。

M そんなフェブラリーSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、インティです。

伊吹 オッズが読みづらいメンバー構成ですが、ちょうど「人気順で真ん中あたり」になりそうな気もしますね。前走のチャンピオンズCは単勝9番人気で4着。実績上位ではあるものの、加齢の影響もあって、最近は「さすがに過小評価だろう」と判断せざるを得ない場面が増えてきました。

M 実際、ここ4戦連続で単勝人気順よりも上の着順に来ていますからね。

伊吹 2019年にこのレースを勝っている分、他のレースに出走したときよりは注目を集めてしまうかもしれませんが、上位人気グループの一角を占めるということはないでしょう。Aiエスケープが高く評価している点を踏まえつつ、レースの傾向からこの馬の評価を見極めていきたいと思います。

M もっとも重要なポイントはどのあたりでしょう?

伊吹 コース適性ですね。過去10年のフェブラリーSで好走を果たした馬の大半は、東京ダ1600mか中京ダ1800mの重賞で健闘したことのある馬でした。


M 東京ダ1600mはこのフェブラリーSが行われるコース。そして、中京ダ1800mはチャンピオンズCが行われるコースです。

伊吹 どちらも左回りで、距離の差も1ハロンだけ。同じような資質を求められるコースと見て良いでしょう。また、ビッグレースの舞台となっている分、GI以外の重賞もハイレベルなメンバー構成になりがち。コース適性が高いだけでなく、それなりに能力もある馬でないと、この条件をクリアすることはできません。

M 既にこのレースを勝っているインティは高く評価できますね。ただ、優勝を果たしたのは3年前。明け8歳となり、加齢の影響も気になるところですが、いかがでしょうか。

伊吹 その点はあまり心配しなくて良いと思いますよ。長期の休養期間があったので、出走数はまだ21戦。そして、2016年以降の3着以内馬18頭中13頭は、キャリア23戦以内でした。


M なるほど。少なくとも、使い込んでいる高齢馬よりは高く評価して良さそうです。

伊吹 ちなみに、出走数が24戦以上、かつフェブラリーSにおいて4着以内となった経験がない馬は2016年以降[0-1-0-26](3着内率3.7%)。該当馬は思い切って評価を下げましょう。

M 逆に、伊吹さんから見て何か気になるポイントはありますか?

伊吹 やはり直近のパフォーマンスですね。2016年以降の過去6年に限ると、前走の着順が2着以内だった馬は[4-4-4-18] (3着内率40.0%)。基本的に前走好走馬が強いレースです。さらに、前走の着順が3着以内だったにもかかわらず好走を果たした馬の大半は、前走がダートのビッグレース、かつその前走で先行していない馬でした。


M インティの前走はGIのチャンピオンズCでしたが、4コーナーを2番手で通過しています。

伊吹 ……とはいえ、展開や相手関係を考えれば十分に高く評価できる内容だったのも事実。この傾向だけを根拠に嫌う必要はないでしょう。Aiエスケープも有力視しているようですし、それなりに面白い存在と言えるのではないでしょうか。オッズや結果を見るのが楽しみです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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