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【スプリングS】ステイゴールド一族の魅力とその強さ

  • 2022年03月19日(土) 12時00分

伏兵となったクリノプレミアム、そこから一族を見ていくと…


 レース検討は、伏兵探しという側面を持っている。中山牝馬Sを勝ったクリノプレミアムは、松岡騎手完全復活、15番人気プレミアム大金星とたたえられた。

 昨年夏オープン入りしてから4戦したこの5歳牝馬を、管理する伊藤伸一調教師は、「ここまで何かかみ合わなかったけれど、それでもオープンでもやれるかなと思っていました」と語っていたが、同馬への期待がうかがえる。大外枠から出て中団で折り合いをつけ、4角9番手から力強く末脚を伸ばしてくるのを見て、父馬オルフェーヴルが頭をよぎった。

 2011年に三冠を達成したステイゴールド産駒だが、種牡馬になって初年度産駒から、皐月賞馬エポカドーロが出ている。2018年のことだったが、トライアルのスプリングSではハナ差の2着ながら後続に3馬身半差をつけていて、本番では7番人気の伏兵ながら底力を示していた。

 どこか可能性を秘めているというのがオルフェーヴル産駒の魅力なのだが、その父ステイゴールドの産駒にも似たようなとこがある。じっくり強くなっていくタイプが多く、スプリングSに例をとるならば、2017年の勝ち馬ウインブライトは、ここが6戦目だった。

 このステイゴールドを父に持つ一族には、オルフェーヴルの全兄ドリームジャーニーがいる。朝日杯FSの勝ち馬だが、5歳になってから宝塚記念、有馬記念を勝っていた。そのドリームジャーニーの産駒からは、2年前のスプリングSで2着に入ったヴェルトライゼンデが出ている。ホープフルS2着で3戦2勝の4戦目がトライアルだったが、こちらは器用さのある馬だった。

 ステイゴールドとその一族という側面から今週のスプリングSを見てきたが、今年は新たにフェノーメノが加わっている。4歳、5歳の春に天皇賞を連勝していたが、3歳の春は青葉賞を勝ってダービーは2着と走っていた。

 このフェノーメノを父に持つオウケンボルトは、スプリングSが6戦目。前走が中山2200米の水仙賞で2着。この3戦は3、1、2着とレースぶりが安定しているが、特に前走は3着馬に2馬身半差をつけ、地力強化を印象づけていた。水仙賞組とスプリングSは、このところ結びつくことが多いので、このステイゴールド一族のオウケンボルトは、今後も含めて注目していきたい。

 このトライアルは、かつての名馬が駆け抜けたレースでもあり、その典型が、2011年に勝ったオルフェーヴルと言ってもいい。このときは、GI3勝の全兄ドリームジャーニー級の豪脚と報じられていた。そしてあの出世につながったのだが、今年のメンバーから、これに匹敵する名馬が生まれるかどうか。

 前走、重賞で好走したアサヒ、アライバル、ビーアストニッシドは、スムーズに走れるかどうかで先が見えてくる。あとは、ひと息入れたドーブネ、サトノヘリオスの変身に注目しておく。

「夢背負い 皐月の主役 現実に」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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