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POG取材、浦河地区

  • 2022年03月31日(木) 18時00分

残り数軒で、今年のPOG取材も終了


 3月22日〜26日は、浦河地区のPOG取材が集中する週であった。何軒かの大手育成牧場では「合同撮影」になり、各媒体のカメラマンが集まって、牧場からあらかじめ用意して頂いた推奨馬の立ち写真を撮った。3月初旬の段階で、24日(木)に吉澤ステーブル、翌25日(金)にシュウジデイファームの撮影がいち早く決定していたので、その前後に、ディアレストクラブイースト、三嶋牧場などの撮影が組み込まれる形になった。

 24日の吉澤ステーブル合同撮影日は、あいにくの曇り空で始まったが、その後昼近くになるにつれて徐々に雲が消えていき、午後は太陽光がまぶしいほどの好天になった。

 吉澤ステーブルの今年の撮影頭数は24頭。毎年のことだが、ここでは非常にバラエティに富んだリストが配布される。ターフ・スポート、ブリーダーズ・ユニオン、友駿ホースクラブなどのクラブ系から、(株)サトミホースカンパニー、石川達絵氏、大川徹氏、(株)ダノックスといった広く名前の知られた馬主の所有馬も多く、厩舎もまた矢作、池江、友道、等々の有力どころがずらりと並び、レベルの高さがうかがえるラインナップだ。

生産地便り

リトルブックの2020


生産地便り

シャンロッサの2020


生産地便り

POG取材当時のミスペンバリーの2017ことパンサラッサ


 リトルブックの2020は競走馬名が「スマートヴィーヴル」となっており、矢作芳人厩舎の予定。父ハーツクライの牝馬で、ダービー馬ロジャーバローズの半妹と血統的にも注目度が高い。またシャンロッサの2020は「ハスラー」という競走馬名で、友道厩舎。こちらはロードカナロアの牡馬で、カンタービレの半弟である。

 粒ぞろいで高水準なのは、翌日に伺ったシュウジデイファームも同様だ。ここは近年俄かに注目度を増してきた育成牧場で、なにより矢作芳人厩舎との太いパイプのあることで知られる。シュウジデイファームで撮影前に配布されたリストには実に35頭に及んだ。

 このうち、実際に立ち写真の撮影に供されたのは28頭であったが、こちらも期待馬が続々と登場し、今年デビューの2歳世代からも活躍馬が出て来そうな予感がある。

 シュウジデイファームといえば、取材日の翌日のドバイターフに優勝したパンサラッサもまたここで育成され、送り出された馬である。3年前のデータを探してみたら、2019年3月22日に撮影したデビュー前の立ち写真が出てきた。

 パンサラッサは昨秋のオクトーバーステークス(L)に勝って一気に本格化し、福島記念を制した勢いで有馬記念にも駒を進めたのは周知の通り。この時には残念ながら13着に敗退したものの、2月27日の中山記念を2番人気で勝った後、ドバイに遠征したのであった。POG取材の楽しみの一つがこういうところで、それほど多いわけではないが、後々出世した名馬のデビュー前の姿がカメラに収められている場合もある。

 ディアレストクラブイーストでは、珍しい「白毛」が登場した。父ゴールドシップの牡馬で、母はカスタディーヴァ。競走馬名は「アオラキ」となっている。本馬が眼前に姿を現した時には、おおっーという声が上がった。見事な白さで、何とも美しく、思わず見とれてしまうほどであった。優雅、気品というような言葉が頭に浮かんできた。これはデビューする時が楽しみである。

生産地便り

カスタディーヴァの2020


 三嶋牧場ではメイショウベルーガの2020(父ロードカナロア、牝)、チリエージェの2020(父ハーツクライ、牡、競走馬名ルクルス)など、名血馬が10頭登場した。

生産地便り

メイショウベルーガの2020


生産地便り

チリエージェの2020


 残すところは、後数軒のみとなった。概ね4月上旬のうちに撮影を済ませて媒体に送り、それで今年のPOG取材のお役目も終了ということになる。今年もまたBTC界隈に点在する10軒以上の育成牧場のご協力を頂いた。改めて感謝申し上げる次第だ。

 ところで、当コラムは、3月いっぱいで毎週更新のペースが変更され、来月以降は月に1〜2本程度の更新になる。思えば20年以上もの長きにわたり、週単位のペースで拙い原稿を載せて頂いてきたことになるが、ここらで少し体を休めることができそうだ。

 もちろん今後も基本的には生産地での活動が基本になるので、セリやホッカイドウ競馬、事情が許せば、中央競馬の北海道開催などにも今まで通り足を運ぶつもりではいる。

 ただ、気になるのは、果たしてコロナ以前のように、人々が制限なく自由に競馬場に行って走る馬に声援を送ることができるようになるのはいつのことだろうか、ということ。

 コロナ禍に加え、ロシア軍のウクライナ侵攻など、世相はやや暗い方向に進みつつあり、今年は様々なものが値上げラッシュといわれる。そんな中でも、競馬は健全な庶民の娯楽として多くのファンに支持されており、一日も早く、以前のような日常が戻ってくることを願うばかり。せめて今年の2歳戦が始まる頃にはまた競馬場に多くのファンが集まってくれるようになって欲しいと思っている。

【公開スケジュール変更のお知らせ】
当コラムは来月より、基本毎月1回の更新にスケジュールを変更させていただくこととなりました。次回は4月13日掲載予定です。引き続きのご愛顧賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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