スマートフォン版へ

英ダービーの大本命馬ルクセンブルクが戦線離脱

  • 2022年05月11日(水) 12時00分

オブライエン師には痛手も二の矢、三の矢が登場


 6月4日にエプソムで行われるG1英ダービーの大本命馬ルクセンブルク(牡3、父キャメロット)の戦線離脱という、衝撃のニュースが聞こえてきたのが、8日(日曜日)のことだった。

 エイダン・オブライエン厩舎から、2歳7月にデビュー。2歳シーズンは3戦し、ドンカスターのG1フューチュリティトロフィー(芝8F)を含む無敗の3連勝をマークし、シーズンオフの間を通じて、英ダービーの前売り1番人気の座にあったのがルクセンブルクである。

 今季初戦となったのが、4月30日にニューマーケットで行われた英国3歳3冠初戦のG1・2000ギニー(芝8F)で、ここではコリーバス(牡3、父ドバウィ)の3着に敗れて連勝が止まったが、ここが今季初戦だったことに加え、もともと距離が延びて良さが出るタイプと見られていたこともあって、同馬のダービーへ向けた評価はさらに上昇。ブックメーカー各社は同馬に2-3倍のオッズを掲げ、抜けた前売り1番人気に支持することになった。

 異変があったのが、2000ギニーから6日後の5月6日(金曜日)で、朝の調教を終えたルクセンンブルクが右後肢に跛行を発症。この段階では、「様子を見る」としていたオブライエン師だったが、その後の詳細な検査で、ルクセンブルクはトモの筋肉を痛めていることが判明。1か月から6週間は舎飼いにして治療に努める必要があることから、ダービー出走は断念。秋の復帰を目指すことになったものだ。

 オブライエン勢にとって、大きな痛手である。しかし、さすがは巨大な戦力を誇る大厩舎だ。2000ギニー後に各地で行われた英国ダービーの前哨戦で、勝ち上がるのはオブライエン厩舎ばかりで、ルクセンブルクの穴があっという間に埋まってしまったのである。

 まずは、5月4日にチェスターで行われたG3チェスターヴァーズ(芝12F63y)。近年では13年にルーラーオヴザワールドが、ここを勝って臨んだ英ダービーを制している。

 ここに、オッズ4.33倍の2番人気で出走したのが、オブライエン厩舎のチェンジングオヴザガード(牡3、父ガリレオ)で、鞍上のR.ムーアに促されてハナに立つと、2番手以下を5馬身ほど引き離して逃走。残り500mから再加速した同馬が、後続に6.1/2馬身差をつけて逃げ切り勝ちを果した。G2ハニーフォックスS(芝8F)など2重賞を制したレディーララの3番仔にあたるのがチェンジングオヴザガードだ。2歳時は3戦0勝に終わった後、今季初戦となった4月1日にダンドークで行われたメイドン(AW10F150y)を6馬身差で制し、デビュー4戦目で初勝利をあげての参戦だった。

 続いて、翌5月5日に同じくチェスターで行われたLRディーS(芝10F70y)。03年にクリスキンが、ここを勝って臨んだ英ダービーを制している。

 ここで、オッズ2.5倍の1番人気に推されたのが、オブライエン厩舎のスターオヴインディア(牡3、父ガリレオ)だった。道中3番手で競馬をした同馬は、残り550m付近で鞍上R.ムーアが仕掛けると、1F標識を切った辺りで先頭に立ち、そこから2.1/4馬身抜け出して優勝を飾った。

 重賞入着馬シャーミーンの8番仔で、G1フェニックスS(芝6F)勝ち馬スーダーマンの半弟にあたるのがスターオヴインディアだ。2歳10月にレパーズタウンのメイドン(芝7F)でデビュー勝ちを飾ると、2歳シーズンをこの1戦で終了。今季初戦となった、4月13日にニューマーケットで行われたG3クレイヴンS(芝8F)は、5着に敗れていた。

 さらに、5月7日にリングフィールドで行われたLRダービートライアルS(芝11F133y)。近年では19年に、アンソニーヴァンダイクがここと英ダービーを連覇している。

 このレースで、オッズ3.25倍の2番人気に推されていたのが、オブライエン厩舎のユナイテッドネイションズ(牡3、父ガリレオ)で、道中2番手を追走した同馬は、直線残り330mで先頭へ。残り1Fで1番人気のウォークオヴスターズ(牡3、父ドバウィ)が並びかけてきたが、そこから再加速したユナイテッドネイションズが最後は3/4馬身抜け出して優勝を飾った。

 クールモアの自家生産馬で、G1アッシュランドS(d8.5F)勝ち馬クリスマスキッドの7番仔となるのがユナイテッドネイションズだ。2歳9月にデビューし、2歳時の成績は2戦1勝。今季初戦となったエプソムのLRブルーリバンドトライアル(芝10F17y)は4着だった。

 そして、5月8日にレパーズタウンで行われたG3愛ダービートライアルS(芝10F)。02年にハイチャパラルが、ここを勝って出走した英ダービーを制している。

 ここに、オッズ1.91倍の1番人気に推されて出走したのが、オブライエン厩舎のストーンエイジ(牡3、父ガリレオ)だった。単騎で逃げた同馬は、残り300mで鞍上R.ムーアのステッキが入ると再加速し、後続に5.1/2馬身差をつける快勝劇を演じた。

 ピーター・ブラント氏のホワイトバーチファームの生産馬で、生産者とクールモアが共同所有するのがストーンエイジだ。G1仏オークス(芝2100m)など2つのG1を制したブライトスカイの甥にあたる。2歳時は5戦し、G1クリテリウムドサンクルー(芝2000m)2着、G2チャンピオンジュヴェナイルS(芝8F)2着などの成績を残しながら、未勝利に終わっている。今季初戦となったナーヴァンのメイドン(芝10F)を9馬身差で制し、初勝利を挙げての参戦だった。

 というわけで、英国ダービーへ向けたブックメーカー各社の前売り(5月9日現在)では、ストーンエイジが3.5-4.0倍のオッズで1番人気。チェンジングオヴザガードが6.0-7.5倍のオッズで2-3番人気。スターオヴインディアが10-13倍、ユナイテッドネイションズが11-13倍で、いずれも5-6番人気となっている。

 英国ダービーの前哨戦は、最重要プレップと言われるG2ダンテS(芝10F56y)が、12日(木曜日)にヨーク競馬場で行われる予定だ。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング