5月14日の「ヴィクトリアマイル」(東京1600m)を頂点とする古馬の牝馬シリーズが続いている。中でも福島のGIII福島牝馬Sはややランク落ちの形で、先々週の阪神牝馬S(ラインクラフト、エアメサイア)とはメンバーのレベルが異なるが、開催の最後でかなり内寄りの芝が荒れたコース。平坦小回りの1800mとはいえ、意外に底力や総合力が求められそうだ。一昨年は1分46秒6、昨年は一転して1分49秒4で決着したが、今年はちょうどその中間の1分48秒前後だろう。パワーも底力も必要となる。
5歳アズマサンダースに期待する。この馬、桜花賞2着、05年の京都牝馬S・1着、ハットトリックと接戦の京都金杯の小差3着などがあり、能力はGI級だが、ふと振り返ってみるとたった2勝馬。そのうえ最近1年間の加算賞金は0だから、ここで勝ち負けしないことには、ひょっとするとGIヴィクトリアマイルうんぬんなど言ってられる立場ではない危険がある。阪神牝馬Sのあと、ここに中1週で遠征する理由がある。
総合力、底力が求められるのは有利。別定55kgも恵まれている。サンデーサイレンス産駒はだいたい芝の荒れたローカルの後半のレースを嫌うパターンだが、アズマサンダースの場合、少なくとも実力勝負の馬場は不利ではないと考えたい。一族はコランディアから広がる牝系で、代表はベルワイドだが、平坦功者としてはニッショウキング、ホースメンホープ、ミヤコメルド。最近では母の半妹になるマジックキス、ブリットレーンなどが並ぶファミリーで、平坦適性は高い。
その牝系に配合されてきた種牡馬は、チャイナロック、ネヴァービート、シンボリルドルフ。こういう血統背景から、荒れた力のいる芝はまず苦にしないだろう。外に出し、力で伸びてくるはずだ。
絶好の動きを示すコスモマーベラスが強敵だが、格下でもコアレスパティオ、フィヨルドクルーズ、クロユリジョウあたりまで手を広げておきたい。牝馬同士の小回り平坦重賞にまったく足りない馬は少ない。
京都のメインは、素直にマチカネキララ、ダンスインザモア。東京はタイキヴァンベール、ツムジカゼの線が濃い