キストゥヘヴン、アドマイヤキッスの桜花賞組が必ずしも距離延びて良いタイプでもない今年の3歳牝馬路線。桜花賞組ではなく、このフローラS、さらには次週のスイートピーS出走馬の中にも、急上昇でオークスの有力馬となる馬がいると考えられていた。
ヤマトマリオン、ブロンコーネ、アクロスザヘイブンの上位3頭が出走権を得て本番のオークスに挑戦するが、この3頭、10、8、4番人気の伏兵だったから、オークスでの評価は難しいと同時に、今年のオークスはさらに一段と波乱含みの混戦になったことになる。
快勝したヤマトマリオンは、10着までがわずか0.4秒差の大接戦の中、ゴール前1Fの伸びは際立っていた。寸前で1馬身抜け出したが、脚色はまだ楽。フローラS組の中では着順通りというより、それ以上に本番での再度の快走の期待十分だろう。ここまでダートで2勝は、波乱の牝馬路線ではときどきある伏兵の典型的なパターン。メイショウサムソン(皐月賞)と同じオペラハウス産駒で、渋いイメージはほとんど同じ。母の父アンバーシャダイ、その前がプレストウコウとさかのぼる牝系は、ミスチェスターから広がるソネラの分岐で、カミノテシオ、メグロモガミ(菊花賞3着)などが代表馬。ファミリーも十分に渋い。メイショウサムソンがガーネットの一族だったことと同様、ヤマトマリオンも日本の少々古い牝系の出身。今春はこういうムードかもしれない。
ブロンコーネは、オークス馬オーハヤブサから広がる牝系で、祖母がビクトリアクラウン。こちらは伝統の名牝系で、福島で勝って間に合ったトライアルが2着。まだ3戦のキャリアだが、レース振りはしぶとい。距離2400mはベストだろう。
3着アクロスザヘイブンは、この日、アンタレスS・2着のヒシアトラスの下であると同時に、東京12Rで3着だったキャピタルフライトの妹。たまたまだが、そろってあと一歩の詰めを欠く3兄妹であるところをみせてしまったが、大崩れしない強みを生かし、オークスでも善戦する可能性はある。
異例のローテーションをとって、テイエムプリキュアは中団の外から伸びかかったが、0.3秒差の7着。大負けしたという訳ではないが、馬自身が全力で走ろうとする気になっていないようなところがある。スランプ脱出には時間がかかるだろう。
小柄なアイスドールも0.3秒差の8着。多頭数だと他馬を気にしてしまう弱さは解消しなかった。