混戦模様の菊花賞へ展望が広がった
3馬身半差で圧勝したジャスティンパレス(C)netkeiba.com
注目の新星パラレルヴィジョン(父キズナ)、ボルドグフーシュ(父スクリーンヒーロー)、さらには日本ダービーで先着を許したプラダリア(父ディープインパクト)を封じて、3馬身半差の完勝を決めたのはジャスティンパレス(父ディープインパクト)だった。
「60秒0-(12秒5)-58秒6」=2分11秒1の勝ち時計と、3馬身半差の圧勝は予測以上だった。もちろんレースの流れも、同じような位置から直線で抜け出したあと馬なりだった2020年コントレイル(父ディープインパクト)と印象は大きく異なるが、コントレイルの中京の神戸新聞杯は2分12秒5「59秒9-(12秒3)-60秒3」だった。
2歳12月の「ホープフルS」2着の後、「皐月賞」は9着、「日本ダービー」も9着でやや評価を落としていたが、今年、日本ダービー5着以内、皐月賞5着以内のグループで菊花賞を予定するのは、アスクビクターモア、プラダリア…くらいとされ、凱旋門賞のドウデュースはもちろん、イクイノックス、ダノンベルーガの名はいまのところない。ジャスティンパレスの夏を越しての変わり身は注目に値する。
セントライト記念で頭角を現したのは、母の父クロフネ譲りの芦毛馬ガイアフォース(父キタサンブラック)。神戸新聞杯で巻き返してきたジャスティンパレスもまた、同じ栗東の杉山晴紀調教師の管理馬であり、今秋の菊花賞では、GIホースがいないうえ、春のクラシック好走馬がいない組み合わせになりそうな一方、杉山厩舎に幸運が集中することになるかもしれない。
2着に突っ込んだヤマニンゼスト(父シンボリクリスエス)は、直前に武豊騎乗が成立しての挑戦。まったく人気はなかったが、インからスルスル進出した3コーナーあたりの行き脚を見て、ひょっとして…と思ったファンがいたかもしれない。絶妙のコース取りと、上位2-3着突入を狙ったかのような武豊騎手の騎乗によるところが大きいのは確かだが、ファミリーはなかなかの名門。ここまでは2000m以下に絞って出走してきたが、マイラー系という血統背景ではない。混戦模様になりつつある今年、もしこのまま武豊騎手が連続して乗るとなったら、軽視禁物だろう。今年はタイトルホルダーのようなステイヤーはいない。
ボルドグフーシュは、これで2000mを超える距離では【3-0-2-0】。急成長するケースが珍しくないスクリーンヒーロー産駒で、サンデーサイレンスの「3×3」。前半は注文をつけて最後方追走となり、最後の直線は一番外を回っての追い込み。上がり34秒3は最速だった。さすがに本番ではこういうレース運びではないだろう。速い脚が長続きした。阪神内回りの3000mは意外に合う可能性がある、全3勝中の2勝が阪神である。
2番人気のプラダリアは、中間に不安をささやかれたが、本番前とすると決して悪いという気配ではなかった。前半から射程圏にいて最後に伸びなかったあたり、完調ではなかったのは事実だが、もう少し見せ場が欲しかった。これで変わってくれるだろうか。
ヴェローナシチー(父エピファネイア)は、早めに動くと勝ちみの遅さが出てしまうため、あえて後方に下げたレース運びだった。最後は2着争いに加わったあたり、あくまで結果論だが、少し脚を余した印象も残った。条件賞金1500万円。これで出走できるかどうかのボーダーラインとなり、抽選対象が考えられる。
1番人気のパラレルヴィジョンは、まだ2戦のキャリアで休み明け。初遠征の初コースとあってスタートから流れに乗れなかった。少し仕掛けて進出すると、終始もまれる位置になってしまったのも不運。2着とは0秒5差なのでいくらも負けていないが、さすがに直線はもう必死に追う位置ではなかった。自己条件から改めて未来を展望することになる。