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NHKマイルC

  • 2006年05月08日(月) 12時50分
 ステップレースのGII・ニュージーランドTを2、3、4着していたファイングレイン、ロジック、アポロノサトリが、ひと回りパワーアップした形で、今回は順に2、1、4着。NHKマイルCに直結する路線の勢力図が大きく変わったわけではないから、配当や人気順を別にすると波乱の結果とも言えないが、それでも的の絞りにくい難しいレースだった。

 ファイングレインは、そのニュージーランドTが一連のマイル戦の中で最も厳しい流れ[前半46.0-57.8秒]で、逃げて1分33秒6の2着。決して逃げ一手ではなく、巻き返す可能性は大いにあったが、今回は飛ばすと思われた馬が多く、展開不利とされての9番人気。しかし、好枠からのスタートで好位で流れに乗り、インぴったりをキープ。絶妙のタイミングで抜け、あと一歩だった。

 ロジックは、一連のマイル重賞の3、2、3着馬。あと一歩の詰めの甘さに泣いていたが、今回は中団より後方に控え、ずっと内ラチ沿いをキープ。直線、ファイングレインの後を追うようにガラッと開いたラチ沿いにそのまま突っ込んできた。GIで武豊騎手、横山典騎手の1、2着は再三出現するが、馬の能力とは別に、2人のGIコンビのロスを最小限にとどめた好騎乗だった。馬場が渋り始めると、決して芝状態は良くないように見える内ラチ沿いの方がかえって滑らないとされるが、たまたま内枠を引いたからではなく、2人ともラチ沿いキープは予定通りだったそうだ。

 1番人気のフサイチリシャールは、予定通り好位の外で抜け出すタイミングを計っての先行策。気配も良く、直線に向いたところでは伸びるかに見えたが、全くいいところなく失速した。この後ダービーに出走する(ボス騎手予定)とされているが、スプリングS→皐月賞→NHKマイルCと、だんだんレースの中身が悪くなっているのが気になる。休みなくすでに9戦、そうタフなタイプではないのだろう。

 これをマークしていたキンシャサノキセキは、一旦は先頭の場面もあったが、センスの良さは光るものの、まだパンチ不足だった。2kg減の55kgでも、南半球生まれの若さだろう。

 マイネルスケルツィは、良く言えば落ち着き払っているようにも見えたが、返し馬に入る際にもあまりに気力不足。元気がなかった。スタートでの躓きはそう大きなロスではなく、無理に追い上げたようにも見えず、うまくインを通って好位に取り付いたが、追い出して不発。道中、多少はかかった程度のロスはあったが、期待外れだった。ピーク過ぎだったのだろうか。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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