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【騎手の種牡馬辞典】ルーラーシップ編 ──朝日杯FSで騎乗するドルチェモアも! 最大の武器は「乗り味の良さ」

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  • 2022年12月11日(日) 18時02分
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▲「競馬博士」坂井瑠星騎手の短期連載、第二弾がスタート! (撮影:榎本良平)


“超”のつく競馬オタクの坂井瑠星騎手が、豊富な知識と自身の経験から種牡馬を解説する「使える種牡馬辞典」。第二弾の今回は、リーディングを賑わす注目の種牡馬から、自身の中央GI初制覇のコンビとなったスタニングローズの父・キングカメハメハなど、レジェンド種牡馬もお届けします。

今回取り上げるのはルーラーシップ。現役時代の背中を知る四位調教師や福永騎手が絶賛したのが、乗り味の良さ。その武器は産駒にもしっかりと受け継がれているそうです。が、しかし、それがレースに直結するかとなると、そう単純ではないそうで…。本来の能力を出し切るために、必要な条件とは?

(取材・構成=不破由妃子)

◆大反響!「種牡馬辞典」第一弾はこちらから


共通点はふたつ「乗り味の良さ」「気性の難しさ」
 第二回で取り上げるのは、今年の獲得賞金順で8位、勝ち馬頭数順で9位につけるルーラーシップです。

 父キングカメハメハ、母エアグルーヴという超のつく良血馬であり、現役時代には、クイーンエリザベス2世Cを含む重賞5勝(20戦8勝)をマーク。ルーラーシップが現役当時、僕はまだ中学生でしたが、毎週テレビにかじりつくように競馬を見ていたので、その活躍はよく覚えています。

 種牡馬としても、初年度産駒からキセキ(2017年・菊花賞)を送り出し、現2歳が7世代目。2019年のコーフィールドC(豪G1)を勝ったメールドグラースもルーラーシップ産駒ですね。

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▲瑠星少年を釘付けにした現役当時のルーラーシップ (撮影:下野雄規)


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▲管理したのは名伯楽の角居勝彦元調教師 (撮影:下野雄規)


 ルーラーシップと聞いて、まず思い出されるのは…、そう「出遅れ」です。ファンのみなさんのなかでも、そのイメージが強いのではないでしょうか。

 ラストランとなった2012年の有馬記念では、2番人気の支持を集めつつ、6馬身近い大出遅れ。それでいて、最後は猛然と追い込んで3着にきたわけですから、秘めた能力は相当なものだっただろうなと想像ができます。

 ちなみに、ルーラーシップ産駒では、僕もリバプールタウン、アオイテソーロ、カラミンサ、タイセイモンストルなどで7勝を挙げさせてもらっていますが、今のところ、ゲートにそれほどマイナスなイメージはなく、その点に関しては、お父さんの血がそのまま伝わっている感じはしませんね。

 僕が感じる産駒の共通点はふたつ。ひとつ目は乗り味の良さ、ふたつ目は気性の難しさです。

 僕が直接聞いたわけではありませんが、現役時代のルーラーシップの背中を知る四位調教師や(福永)祐一さんが、その乗り味の良さを絶賛されていたとのこと。跨った瞬間、「あ、乗り味いいな」と思う産駒が本当に多いので、そこはきっちり産駒が受け継いでいるのでしょうね。

 今年、2世代目がデビューしたシルバーステート産駒もそうです。競走馬の乗り味は、よく車に例えられますが、まさに「高級車」といった乗り味です。

 乗り味がいい馬は、単純に走る馬が多いです。これは間違いありません。いっぽうで、乗り味の良さがレースに直結するかとなると、そう単純ではありません。

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1997年5月31日、東京都生まれ。父・坂井英光は大井競馬所属として地方通算2000勝を達成した名手(現調教師)。同期は藤田菜七子、荻野極、木幡巧也ら。2016年に栗東・矢作芳人厩舎所属でデビュー。2019年ノーワンのフィリーズレビューで重賞初制覇。2020年ダノンファラオのジャパンダートダービーで交流GI初制覇。また、2017年のオーストラリア長期遠征を皮切りに、ヨーロッパや中東など世界各国で騎乗。

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