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【阪神JF】レース史上2位の快時計、断然1番人気馬の鮮やかな勝利

  • 2022年12月12日(月) 18時00分

来春の桜花賞路線に名乗りをあげた


重賞レース回顧

阪神ジュベナイルFを制したリバティアイランド(c)netkeiba.com



 断然の1番人気に支持されたリバティアイランド(父ドゥラメンテ)の鮮やかな圧勝だった。1分33秒1は、2019年レシステンシア(のちの桜花賞2着馬)のレースレコード1分32秒7には及ばなかったが、2006年ウオッカ(桜花賞2着)、2020年ソダシ(桜花賞1着)の1分33秒1と並ぶレース史上2位の快時計だった。

 阪神ジュベナイルFを期待に応えて1番人気で勝った馬の翌春の桜花賞成績は、1992年ニシノフラワー、2001年テイエムオーシャン、2009年ブエナビスタ、2021年ソダシ。無事に出走できた7頭のうち4頭が勝って【4-0-1-2】。クラシック路線はときにサバイバルロードになったりするので気は抜けないが、来春の桜花賞路線はリバティアイランドを中心に展開していくことになった。

 レース前の気負いもなく、スタートも互角以上。直線は大事に外に回ると一気に抜け出し、ゴール前は余力を感じさせるフットワークだった。

 新馬戦は「64秒4-上がり31秒4」=1分35秒8。2戦目は「60秒6-上がり33秒3」=1分33秒9。そして今回は「57秒6-上がり35秒5」=1分33秒1。超スローも、平均ペースも、高速の猛ペースもすべてこなし、阪神1600mを難なくこなした自信は大きい。

 2007年レーヴダムール、2005年シークレットコードなど、新馬勝ち2戦目に2着、あるいは3着した例はあるが、わずか2戦目に2着に突っ込んだシンリョクカ(父サトノダイヤモンド)はすばらしかった。

 レース前半は馬群の中で折り合い、直線は楽々と抜け出して最後の1ハロンを11秒1でまとめた新馬戦のレースセンスは光ったが、今回はこの馬だけがキャリア1戦。レースセンスでカバーできる組み合わせでも、レースレベルでもなかった。厳しい流れになった好位のインで流れに乗り、ゴール寸前余力を失った馬もいた2着争いから伸びている。

 新馬戦は「63秒2-上がり33秒4」=1分36秒6。今回は一転、「57秒6-上がり35秒9」のバランスで1分33秒5だからすごい。母レイカーラはターコイズSなどマイル戦を中心に5勝したオープン馬。父は菊花賞馬であると同時に、3歳時に有馬記念を制したサトノダイヤモンド(父ディープインパクト)。来春は1戦ごとに成長するだろう。

 リバティアイランド以外の人気馬は、2番人気のモリアーナ(父エピファネイア)以下みんな大きく崩れてしまったが、まだみんなキャリアは浅い。勝ったリバティアイランドと、2戦目に一気に頭角を現したシンリョクカだけが光ってしまったが、出負けしたドゥアイズ(父ルーラーシップ)が3着に突っ込み、同じく外枠で出遅れたドゥーラ(父ドゥラメンテ)は上がり最速の35秒0を記録している。

 今回は力を出しきれなかった注目馬が多かったが、今回の敗戦だけで評価が下がることはない。つづけて凡走してしまうと桜花賞路線では苦しいが、高い支持を受けたグループの巻き返しに期待したい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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