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【阪神C・有馬記念・ホープフルS予想】暮れの大一番のグランプリ、有力馬の調教内容を総括

  • 2022年12月21日(水) 18時00分

美浦所属馬が人気を集める一戦


 いよいよ、2022年の開催もあと3日を残すだけ。今年の当コラムも今回が最終となるので、有馬記念だけではなく、ホープフルSについても触れる内容となっています。

 有馬記念はnetkeiba.comの予想オッズでイクイノックス、タイトルホルダーの2頭が単勝2倍台。ファン投票の結果も踏まえると、実際にも美浦所属馬が1番人気ということになりそうですね。昨年の覇者、エフフォーリアは21日6時の時点で4番人気という予想オッズ。ここでは美浦所属馬について触れないので、調教による評価が気になる方は金曜日に更新予定の「重賞捜査網」をご確認ください。出走馬全頭の最終追い切りを1分程度にまとめて解説しています。

 ホープフルSもnetkeiba.comの予想オッズを参考にすると、1番人気はガストリックで美浦所属馬。GIに昇格して6年目になりますが、過去5年の勝ち馬はすべて栗東所属馬というレースです。もともとキャリアの浅い馬が多くて難解なGIですが、人気の取り扱いに少々悩むレースになることは間違いないでしょう。

【阪神C/グレナディアガーズ】

 今年に入ってからの2戦は高松宮記念12着、プラチナジュビリーS19着。実績のない1200mだったり、海外のレースだったり、惨敗した理由はあるかもしれません。2走前に関しては、CWでの追い切りも坂路での追い切りもしっかりと動けていただけに、調教が敗因ではないかなと思っています。

 1週前追い切りがCWで6F79.6秒をマークして、古馬2勝クラスを追走した併せ馬では先着。最終追い切りは坂路で4F53.3秒。2F23.8秒と素晴らしい数字をマークしていますし、これは昨年勝った時以上の内容。これなら走れると思います。

調教Gメン研究所

調教は昨年以上の内容だったグレナディアガーズ(12月20日撮影)


【有馬記念/ジェラルディーナ】

 最終追い切りに関しては、トレセンニュースで取り上げたので、そちらをご覧いただくとして、ここではそれまで含めた調教内容の総括。まず、中5週で3本の追い切り。これは一般的に見ると少ない量ですが、中6週のエリザベス女王杯を同じ本数で勝利したので、ここはあまり気にすることはないかもしれません。

 1本ずつの追い切りの負荷としては、CWで単走2本、併せ馬1本。これも同じですし、時計的にも同じくらい。これはオールカマーを勝った時も含めて変わりない部分ですから、そうすると、勝った時と同じ調教内容という評価になってきます。

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少ない本数も充実した内容のジェラルディーナ(12月21日撮影)


【有馬記念/ヴェラアズール】

 まず1週前追い切りのCWでの単走の動き。最後の直線で手前を何度も替えていますが、これに関しては、渡辺薫彦調教師も共同記者会見で「ボディーバランスが良いからできること」といったニュアンスで答えたようです。個人的には、コーナーを6回も通るコースですから、むしろ手前を何度も替えることができる器用さは重要だと思います。

 ただ、最終追い切りで気になったのは、道中で少し頭を上げていたこと。もともと頭が低い走りをする馬ではないので、誤差の範囲かもしれませんが、少し自分の主観的判定の中で引っかかる部分です。予想を確定させるまで、まだ時間がありますから、もう一度、VTRを観て、動きをしっかり確認してから最終決断しようと思います。

調教Gメン研究所

一週前追い切りでは器用さを見せたヴェラアズール(12月14日撮影)


【ホープフルS/ミッキーカプチーノ】

 CWでの追い切りの動きが素晴らしく、初めての中山でも結果を出すだろうと思ったのが前走。想像した以上に強いレースでしたが、そこから変則的な中2週というローテーションでどんな調整をしてくるんだろうと気になっていました。

 先週、坂路で時計を出し、この週中はCWで戸崎圭太騎手が騎乗。前方に同じレースに出走予定のフェイトが併せ馬をしていましたが、5秒近くは後ろにいたので、形としては単走でしょう。それでもゴールを過ぎて、1コーナーのあたりでは前に追いつく勢いでした。その時計が6F81.6秒。最後の直線は11.8秒、11.6秒。数字を見れば、そりゃあ勢いが違うよねって感じ。あとはレースまでにもうひと追い切りあるかどうか。このあたりを確認して、最終的な結論を出します。

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数字を見れば勢いが違うミッキーカプチーノ(12月21日撮影)


【ホープフルS/ファントムシーフ】

 連勝中ですが、9月の野路菊S以来のレース。休み明けが少し気になるところですが、この中間は早い時期からCWで追い切りを課しています。先週のCWでは古馬1勝クラスと古馬2勝クラスを追走して外から追い抜きにいく内容。ゴールでは古馬1勝クラスに追いつくことができませんでしたが、この馬自身は最後の直線で11秒台のラップを踏んでいます。このラップで動いていないとは判断できません。

 むしろ、最終追い切りはCWで6F87.4秒と時計が遅かったのですが、最後の1Fは11.1秒。素晴らしい伸びを見せていましたから、やっぱり能力が高い馬なんだなと思いました。連勝時の最終追いは坂路で速い時計は出していませんから、これが週末に課されるようだと休み明けでも心配なしという判断でよさそうです。

調教Gメン研究所

休み明けも心配なさそうなファントムシーフ(写真奥、12月21日撮影)


◆次走要注意

・12/17 3歳上1勝クラス【ブリュットミレジメ】(11人/16着)

 佐賀からJRAへ転入しての初戦。最終追い切りが栗東坂路で4F51.4秒かつ、4F目11.9秒で最速ラップという素晴らしい内容でした。それでも惨敗の理由は「ハミを噛んでいた」と荒川義之調教師。次走は小倉を予定しているようなので、攻めが相変わらずなら積極的に狙いたいところです。

[メモ登録用コメント] [1200m以下]最終追いが坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<中山芝2000m>
◎追い切り本数が標準以上の併用系統の調教タイプ
○最終追い切りが坂路馬場で4F目最速ラップもしくは持続ラップ

 昨年は2着3着が標準併用。メンバー最速上がりを使ったのは、7着でしたが美浦坂路で4F目最速ラップを踏んだ12番人気でした。今開催の中山芝2000mで行われた葉牡丹賞は1着から3着まで標準併用。そして、メンバー最速上がりをマークしたのが、最終追い切りが美坂で4F目最速ラップを踏んだ11番人気ですから、やっぱりこの調教適性はポイントになりそうです。



当コラムの次回更新は1月4日(水)18時予定です。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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