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ヴィクトリアマイル

  • 2006年05月15日(月) 13時00分
 心配された馬場状態は「稍重」まで回復し全体に少し時計がかかる程度。強力な先行型がいなかったため、前後半の800mは[47.5-46.5秒]。1000m通過は59.7秒のスロー。

 東京の1600mのGI(安田記念、NHKマイルC)が再三波乱を呼ぶのは、ハイペースになりすぎて有力馬が失速したり、可能性を引き出されることになった伏兵が台頭するのがパターンだから、レース前にささやかれた通りのすんなりしたペースで展開した今回、有力馬がほぼその能力を出し切れただろう。

 勝ったダンスインザムードは、しばらくスランプの時期はあったが、昨秋の天皇賞3着のあたりから完全復活ムード。うまく好位のインをキープできる1番枠にも恵まれ、着差以上の完勝だった。スランプ時に見せたチャカつく面もみせず、落ち着き払った気配で、馬体にはどっしりした迫力さえあった。北村宏司騎手にとっては知り尽くしている自厩舎の馬、快心のGI制覇でもう自厩のオープン馬をGIレースで、他の騎手にゆずったりのケースは一気に少なくなるだろう。北村宏司騎手以上に、藤沢和調教師の方が喜びを前面に出していた。

 エアメサイアは外枠の馬があまり好走できる条件ではなかった2回東京のAコースで、きちっと答えを出した。ディアデラノビアも同様で、こちらは自分で動く今回のようなペースではなく、追い込み型台頭のレースで快走がありそうだ。

 ラインクラフトは変にチャカチャカしすぎていた。春シーズンの牝馬がみんなそろって完調で…、のケースは少ない。たまたまのことに思えるが、今回のラインクラフトは急に心身のバランスが崩れた形だった。

 大駆けを期待したヤマニンアラバスタは、不発の12着。良績ある東京コースだけに、もう少し強気なレース運びをみせて欲しかったが、うまく外に出すタイミングをつかめかった。

 コスモバルクのシンガポール航空国際Cの快勝は、これは立派。今度は宝塚記念だろうが、スランプを脱しての再挑戦は楽しみが大きい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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