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【金鯱賞】注目を集めることとなる新星の誕生

  • 2023年03月13日(月) 18時00分

難しい面が残るもさらに上昇すること必至


重賞レース回顧

人気に応えプログノーシスが優勝(c)netkeiba.com、撮影:高橋正和


 予測された以上にレースの流れはスローになり、前後半のバランス「前半60秒9-後半58秒9」=1分59秒8。レース上がり「46秒7-34秒6-11秒8」となった。

 勝った1番人気のプログノーシス(父ディープインパクト)は、主戦の川田騎手に戻って今回は12頭立ての外枠。内枠で18頭立てだった中日新聞杯のように位置取りに苦心することはなく、前回よりはるかにスムーズな追走だった。上がりの勝負になったため2着以下との差はなかったが、休み休みの出走で、これで8戦【5-1-1-1】。まだ前半の位置取りに難しい面が残るものの、さらに上昇すること必至だ。

 優先出走権の生じた大阪杯(4月2日)には、コンビで5戦5勝となった川田騎手は先約があると報じられているので、現段階では出否未定だが、出走してくるようだと新星として注目を集めることになる。阪神コースは5戦3勝。

 一方、差のない2番人気だった牝馬マリアエレーナ(父クロフネ)は、隊列がタイトになりスローとなった展開があまりにも痛かった。好スタートから先行2-3番手の追走になるかと思えたが、他馬も今回はレースの流れを考えると好位追走が最大のテーマ。

 1コーナーまでに慎重に好位のインは確保できたが、それからずっと外の牡馬にプレッシャーをかけられる形になり、この頭数なので4コーナーから直線は多くの馬がインに寄ってきた。バテる馬のいる流れではないから前にスペースは生じず、やむなく横に動いたが、最後までスムーズではなく不完全燃焼。結局、自身が斜行のペナルティーを課されてしまった。デキは素晴らしく良く、チャンス十分の力関係だっただけに残念。他馬とて必死だから仕方がない。

 2着に粘ったフェーングロッテン(父ブラックタイド)は、今回は目標になりながらも終始マイペース。前半1000m通過60秒6だった中山金杯より、むしろ楽なペースになり、上昇中の4歳馬らしく後半の1000mを自身「59秒0-上がり34秒7」でまとめることができた。もともと逃げ一手型ではなく、これで通算【3-2-4-3】。さらにしぶとくなれる。

 3着アラタ(父キングカメハメハ)は気合をつけて理想の3番手追走となったが、一気にペースが上がった残り3ハロン標からのラップは11秒2。この地点で自身がスパートできなかった。鈍ったわけではなく自身の後半3ハロンは34秒6。これまで34秒台前半で上がったことは一度しかない馬だけに、前後半1000mの差が2秒0も生じたスローの切れ味勝負は合わなかった。

 4番人気のヤマニンサルバム(父イスラボニータ)は、4歳の上がり馬だがこのペースで2番手から伸び悩んだあたり、今回は相手が強かったか。これから成長するはずだ。

 昨年の金鯱賞4着から大阪杯を制したポタジェ(父ディープインパクト)は、上がりの速いレースで59キロは苦しく、休み明けで自己最高の478キロ。完調には一歩だった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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