▲昨年はジオグリフが勝利(撮影:下野雄規)
今開催、Bコースに替わって以降の中山芝は開催4日間のうち前日から当日にかけて降雨があった先週土曜以外の3日間は標準的な馬場コンディション。どの開催日も馬場による偏りは特にみられなかった。
皐月賞は路盤が改修された2015年以降、馬場コンディションによって傾向が異なっている。馬場コンディション「軽い〜標準」の間で行われた2015年、2016年、2017年、2019年の4回では3着内に好走した12頭のうち最初のコーナーを3番手以内で通過していた馬が2頭しかいない。対して、二桁位置取り馬が4連対。直線が短いコースながら末脚の要求度が高い。末脚の要求度が高いのはJRAの芝中距離では主流の傾向。バイアスが少なく、実力が反映されやすい。
2017年は3連単の配当こそ100万超えだったが、実力判定が間違っていただけ。1着のアルアインと2着のペルシアンナイトは後にもGI勝ち。3着のダンビュライトも後にGIIを2勝。今振り返れば人気が間違っていたレース。
「軽い〜標準」で行われた皐月賞では後のGIでも好走できる馬を見抜けば当たる可能性は高い。臨戦過程が多様化している現在の3歳重賞は、真の実力をこの時点で見極めるのがわかりにくくなっているだけだ。
一方、重い馬場ではバイアスが出る。馬場コンディション「稍重い〜重い」の間で行わた2018年、2020年、2021年、2022年の4回では4番人気以下で連対した4頭全てが最初のコーナーを5番手以内で通過。連対した8頭のうち上がり3位以内だった馬は3頭しかおらず、直線で脚を脚を使うのが難しい状況。
今週末は不安定な天気予報。先週をみる限り、基本的には標準程度の馬場コンディションで行えそうだが、雨量次第では「稍重い〜重い」の馬場コンディションになることも考慮する必要がある。
現時点では標準的な馬場コンディションで行われることを想定し、雨が降って重めの馬場コンディションになった際にも対応可能な馬を推奨する。
▲ファントムシーフ(撮影:下野雄規)
ファントムシーフはここまで4戦3勝。唯一敗れたのが2走前のホープフルS。このレースはトラックバイアス「 ・超前有利」と判定。前半がスローペース。多頭数でこのペースなら中盤からポジションを上げる馬が出たりなど、レースに動きがあるものだが、それすらなかった。全馬が余力のある状態で直線へ向き、当時の馬場コンディションでは速い脚を使うことも困難だったため、前半の位置取りが勝負を分ける結果に。
このようなレースになってしまったのはホープフルSは、騎手が「先行不利」と意識過剰になり。結果として先行超有利になってしまったからだ。
前週のメインレースとして行われた有馬記念で先行した馬が軒並み惨敗。直前に行われた芝のレースがこのレースと同じ2000mで後方待機馬が独占。
昨年の有馬記念はレースのラップタイムだけみれば平均的なペースにもみえるが、この日は北寄りの風が強めに吹いていて、重めの馬場コンディション。2500mの場合はレース前半部分で向かい風の部分を走っている区間が長いため、字面のタイム以上に前半に前めのポジションをとっていた馬は負荷がかかっていた。
直前に行われた芝2000mに関しても、1勝クラスながら1000mの通過はホープフルSよりも2秒も速いハイペース。これは馬場状況、トラックバイアス以前に単なるオーバーペースによって先行馬が失速しただけ。有馬記念の日に比べ、風はなく、降雨も長い期間なかったので馬場コンディションは標準的。
本来は馬場状況に偏りなどなかったにも関わらず、この2レースに引っ張られた過剰なスローペースによって生じた極端な前残りだった。逃げた馬が2着、2番手通過馬が1着。このどちらも有馬記念と直前の2000m戦には騎乗していない。過剰な意識がない、先入観のなかった騎手が普通のペースで乗っただけだ。
最初のコーナー3番手以降からの3、4着の騎手がそれぞれルメール、福永騎手。有馬記念ではワンツーした順での入線だったのは決して偶然ではない。
ホープフルSで差して届かなかった馬たちは実力を発揮できていないため、次走以降の期待値が高い。ファントムシーフ自身も前走では道中でこれまでより速いペースを追走しながらも、最後までしっかりと脚を使って快勝。再度多頭数のGIとなる今回でもこの経験は活きてくる。
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