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【友道康夫調教師】「まさかジャスティンスカイと安田記念を目指すようになるとは」運命を変えた福永祐一騎手の進言

  • 2023年04月16日(日) 18時01分
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▲マイラーズC出走予定のジャスティンスカイを管理する友道康夫師(撮影:大恵陽子)


キタサンブラックの正真正銘「長男」であるジャスティンスカイ。初年度産駒で最も早い1月19日に生まれ、セレクトセールで9000万円(税別)で落札されるなど、生まれた瞬間から注目を集めてきました。管理する友道康夫調教師もその一人で、昨年のいま頃は青葉賞から日本ダービーへという青写真を描いていたそう。

ところが、名手からのアドバイスをきっかけに1600mで3連勝を果たし、今週末のマイラーズC、さらにその先にはGI・安田記念を目指すようになりました。その過程には一体何があったのでしょうか。

(取材・構成:大恵陽子)

「そのレースには乗れないのに」運命変えた福永祐一騎手のジャッジ


──ジャスティンスカイは現在4歳。同厩舎のダービー馬ドウデュースと同世代ですね。最初の頃の期待感などはいかがでしたか?

友道 体はこちらの方が立派で、ドウデュースと同じくらい期待を持っていました。

──札幌で未勝利を勝って3歳2月には2勝目を挙げ、皐月賞や日本ダービーといったクラシック路線も見えてきたことと思います。

友道 皐月賞に関しては大型馬なので中山よりも広い東京コースの方が合うかな、ということと、賞金的にも出走するためにちょっと無理をする必要があったので、それならば万全の状態でダービーに出したいな、と考えていました。そこで、青葉賞で優先出走権を取って日本ダービーに出られれば、と期待していたんですけど、11着。具合は良かったんですけど、ハッキリとした敗因が分かりませんでした。

──その後、1戦を挟んで秋に1600mに距離短縮をするわけですが、その経緯を教えてください。

友道 福永祐一騎手(当時)で本来は東京芝2400mを使おうと思っていたんです。そこで、ユーイチを1週前追い切りに乗せたら、「この馬は長距離を走る馬じゃないですよ」と言われました。血統的にも体を見ても長距離なんですけど、最後まで集中力が続かないみたいです。どうしてもカーッとなって行ってしまって、集中力が切れてしまうとのことでした。

──集中力がポイントということは、普段からカリカリしたりテンションが高いわけではないんですか?


友道 そんな感じはないし、競馬場でもパドックまでは結構落ち着きもあります。

──たしかに、レースでも折り合いがついているように見えます。

友道 そう、見た目には折り合いがついているけども、やっぱり最後まで集中力が続かなくて、距離がもたないと言われました。

──乗っている人ならではの感覚なんでしょうね。そのひと言でレースを変更して見事に勝ったのですから、すごいです。

友道 そのレースにユーイチは乗れなかったんですよ。本来は土曜日のレース(東京芝2400m)を予定していてそこなら乗れたんですけど、日曜日(東京芝1600m)に変更になって、その日は阪神で秋華賞(GI)があるから自分が乗れないのに、正確なジャッジをしてくれました。

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▲自分が乗れないのに、正確なジャッジ (C)netkeiba.com


──そういった点が多くの関係者が「ユーイチは調教師向き」と言っていた所以でもあるのでしょうか。

友道 この馬に限らず、他の馬に乗った時も色々と特性を教えてくれました。マイル2戦目も乗ってもらいたかったんだけど乗れなくて、ようやく引退間近に乗ってもらって勝つことができました。

──国内騎乗ラスト2週目である2月11日阪神・洛陽Sですね。

友道 あの勝利がうちの厩舎では最後の勝利なんですよね。良かったなと思います。マイルに変えてここまで3連勝できていますからね。

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▲福永騎手とのコンビで洛陽Sを制した (C)netkeiba.com


「最近、体つきが変わっていい筋肉がついてきた」


──次走はマイラーズCです。スタンド改築工事などのため約2年半、開催を休んでいた京都競馬場の開幕週で、コース形態に大きな変化はないものの芝コースは路盤から改修されたようですね。

友道 どんな競馬場になっているか分からないですけど、京都のマイルはワンターンの広いコースで合っていると思います。大型馬なので、広いコースの方がのびのび走れると思います。マイルに転向した頃は周りの馬のテンのスピードにちょっと戸惑っているような面がありましたけど、3回走ってだいぶマイルにも対応できるようになってきました。

──マイラーズCのその先となると?

友道 やっぱりね、安田記念までは何とかこのまま行きたいなと思います。

──デビュー前からずっと高い期待をかけてらっしゃった馬ですもんね。

友道 そう、違う条件で(笑)。2400mくらいで期待していた馬が、まさか1600mの安田記念を目指すようになるとは思っていなかったです。

──競走馬は奥が深いですね。最後に現在の状態を教えてください。

友道 お父さんのキタサンブラックのように背が高くてフレームの大きな馬です。大型馬なので太め残りにならないよう元々気を付けていたんですけども、最近は体つきが変わってきて、お腹周りがスッキリと締まってきました。だけど、数字的にはちょっと増えていて、いい筋肉がついたような感じです。応援よろしくお願いします。

(文中敬称略)

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ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!

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