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【ヴィクトリアM】波乱を予感させるかのような豪雨 立て直しに成功したソングラインの差し切り勝ち

  • 2023年05月15日(月) 18時00分

一直線に内を狙ったのが大正解だった


重賞レース回顧

ヴィクトリアMを制したソングライン(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 レース直前に波乱を予感させるかのような豪雨があったが、結果は昨年の「安田記念」を1分32秒2で差し切ったソングライン(父キズナ)が、まったく同じ1分32秒2で差し切り勝ちを決めた。昨年の「ヴィクトリアマイル」を1分32秒2で制していたソダシ(父クロフネ)がアタマ差同タイムの1分32秒2で2着。東京コースのGIのマイル戦を勝っていた2頭の1着、2着だった。

 もちろん、雨の影響は少なからずあったが、レース全体の流れは「前半46秒2–(1000m通過58秒5)-後半46秒0」=1分32秒2。雨で全体に少し時計を要したものの、かえってバランスの取れた流れになっていた。

 勝ったソングラインはサウジアラビアで凡走した後の一戦だったため少し評価が下がっていたが、中間の入念な調整で立て直しに成功。スタート直後はもまれたが、インを嫌う馬が多かったため、途中から好位の人気馬スターズオンアース(父ドゥラメンテ)をマークして進める絶好のポジション。直線もインの馬にはスペースがあったため、そのまま一直線に内を狙ったのが大正解だった。体調がキープできれば、昨年と同じように安田記念に向かって不思議ない。

 2着ソダシはもまれない外枠がプラスだった。スタートして間もなく内に寄って過怠金を課せられているが、挟まれた形のナミュール(父ハービンジャー)の受けた不利は大きかったものの、実際には外に回ろうと動いていた馬もいたので、ソダシ(D.レーン騎手)が著しく内斜行したものではない印象もある。

 残り400m地点で手応え十分に先頭に立ち、最後の2ハロンを「11秒0-11秒4」でまとめているから、力を出し切ったとはいえるが、もしレーン騎手が2度目の騎乗だったら、もっと早くスパートして並ばれる形を避けたのではないか、とする見方もあった。陣営は予定通り、安田記念に出走を表明している。

 3着にとどまったスターズオンアースは、残り400m標を過ぎてソダシを射程内に入れると、まだ手ごたえがあったのだろう、内寄りの馬場を嫌ってソダシの外に回っている。だが、内を衝いたソングラインほどは伸びず、ソダシも捕えられなかった。雨の馬場を気にしたところもあるが、これでマイル戦【1-2-1-0】。総合力で対応はできているが、本質はマイラーではないといえる。ルメール騎手のコメントも距離適性についてで「ベストは2000-2400m級」だった。

 前半は後方にいた15番人気の伏兵ディヴィーナ(父モーリス)が、上がり最速の33秒1で猛追し勝ち馬から0秒2差の4着。オープンに出世して以降、重賞ではいいところがなかったが、さすが2013年、2014年のヴィクトリアマイルを「1分32秒4、1分32秒3」で連覇したヴィルシーナ産駒。同馬の今回は1分32秒4だった。

 2番人気で7着にとどまったナミュールは、ひと回り成長して452キロの好馬体になっていたが、牝馬だけにスタート直後に両脇から挟まれてリズムを崩したのが痛かった。残念な結果が続くが、まだ通算10戦の4歳馬。やがてGI勝利のチャンスが訪れるだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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