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日本ダービー

  • 2006年05月29日(月) 12時50分
 皐月賞に続いてメイショウサムソンの完勝だった。今回は1番人気馬。マークされる立場にあったが、好位のインの4〜5番手。早め3コーナー過ぎで外に出し、正攻法で押し切った。追い込みの決まりにくい馬場状態もあったが、早め早めに先行のアドマイヤメインに的を絞り、強気にスパート。着差こそクビでも並んでからは楽だった。

 稍重まで回復した芝は、それでも重に近い状態。アドマイヤメインがどんなペースで先導するかに最大のポイントがあったが、予想以上の超スロー。スピードに乗りにくい芝もあったが、青葉賞が前後半72.5-72.8秒の絶妙のバランスで2分25秒3。毎日杯も3月の500万戦も一定の平均ペースで他馬にも脚を使わせる形で3連勝してきたが、今回の2400mの前後半75.2-72.8秒のスロー。逃げ馬ができるだけペースを落とそうとするのは当然で、巧みにスローに持ち込んだ結果が2着に結びついたのだが、頂点のGIの日本ダービー。はからずも主導する形になった馬には、クラシックらしい、しかるべきペースも求められるという声はいつもあり、前半1200m通過1分15秒2は近年のダービーとしては特異すぎだろう。先行抜け出しのメイショウサムソンにとっては望外の楽な流れで、スパートのタイミングだけを計ればOKだったが、アドマイヤムーン、マルカシェンク、フサイチジャンクなど、ライバルと目された差し馬勢には、それでなくとも切れ味を殺される馬場だっただけに、つらいものがあった。流れが落ち着き、馬順がひとたび決まってしまうと、途中では動くことができなくなる。

 メイショウサムソンのダービー制覇には、皐月賞を制した時点で、石橋騎手を筆頭に、オーナー、トレーナーやスタッフ、多くの関係者の努力の結晶であることはもう報道しつくされているが、ダービー制覇で、さらに多くの人々に(もちろんファンを含めて)、「良かった…」と思わせてしまう不思議なダービーでもあった。小倉でデビューし、すでに11戦。初めて今度はオーバーホールの休養を取ることになるが、3冠に向けてさらにパワーアップしたい。ガーネットの牝系でもあり、さらなる成長力は衆目の一致するところだ。

 目立たないところでは、石橋守騎手が心酔する河内調教師はこの週、3頭も東京に遠征させてすべて石橋騎手を起用。乗り数の少なく、さらにはもう何年も東京では勝った記憶がないという石橋守騎手をフォローした。

 2番人気のフサイチジャンクは、展開云々もない凡走で、敗因は難しいが、幸運とは別の次元にいたのだろう。3番人気アドマイヤムーンは、武豊騎手でなければ2400mのダービーで人気になるタイプの馬ではなかった。5番人気のマルカシェンクも、どちらかというとマイラー型だろう。期待したトーホウアランは理想の好位追走になったが、4角で一気にスパートする脚がなく、そこで他馬に前に入られてしまった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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