ダート路線改革前の貴重なマイル重賞制覇

　遠征したUAEダービー1900mでは、体調や距離の関係もあってデルマソトガケから差のある4着にとどまったペリエール(父ヘニーヒューズ)の完勝だった。

「海外遠征の経験は、彼にとっていいポイントだった」と、C.ルメール騎手が称賛したように、精神面で大きく成長。道中は馬群の中でもひるむことなく折り合って追走し、1分35秒0(自身の上がり36秒1)の好時計で3馬身差。最後の1ハロンは余力を残して12秒4。気を抜かせないためのムチは入ったが、着差以上の圧勝だった。

　これで東京ダート3戦3勝。黒岩調教師は「距離は1600mまでがベスト」という。目下全国総合ダート種牡馬ランキング1位のヘニーヒューズ産駒はスピード能力で上回った。

　全国の3歳ダート重賞路線はやがて大きく改革されることが決定している。ユニコーンSの立ち位置も変わる。3歳限定のダートマイル重賞(JRAでダート1600mがあるのは東京コースだけ)なので、ひょっとすると貴重なマイル重賞制覇だったかもしれない。新しく組まれるダート3冠の主要距離は1800-2000mが基本になる。

　早め早めの追走から2着に流れ込んだ形のサンライズジーク(父エピファネイア)はペリエールには完敗でも、自身1分35秒5の中身は「前半1000m通過58秒7-上がり36秒8」なので、内容は少しも悪くない。これで東京ダート1600m【2-1-0-0】。ペリエールと同じように東京ダートのマイル戦前後がベストを示した。

　3着以下は4頭が並んで入線したが、3着ブライアンセンス(父ホッコータルマエ)と、4着メイショウモズ(父トランセンド)は、パワフルなダート巧者の真価が、ハイペースの流れと、もまれる危険の少ない外枠でフルに生きた。これからパワーアップして挑戦したい交流のダート重賞は1800m級が中心なので、未来展望は広がった。

　3番人気で5着にとどまったグレートサンドシー(父イントゥミスチーフ)は、珍しく互角のスタートから置かれずに追走の形がとれたが、「精神面が成長してくれば、間違いなく素質は高い」と川田騎手が振り返ったように、終始他馬を気にして首を振るなど集中できていないレース内容だった。本当は外に回りたかったと思えるが、直線はそういうスペースがなかった。

　オマツリオトコ(父ヴィットリオドーロ)は、スタート直後に気合をつけたが芝の部分でスピードに乗れなかった。途中から外に回って直線は伸びたが、最後は伸び負け。スタミナがないわけではないが、現時点ではパワーの求められる1400m級が理想か。

　前半1000m通過58秒0で飛ばした牝馬ニシノカシミヤ(父ディスクリートキャット)は、1400m通過1分22秒6の地点で、ペリエール、サンライズジークに並ばれながらまだ粘っていた。3代母はアメリカンボスの妹(同父系)。やがていつか快走しそうだ。