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【宝塚記念予想】栗東滞在のイクイノックスら有力馬たちの調教内容は?

  • 2023年06月21日(水) 18時00分

強いて言えば…気になる「ちぐはぐラップ」


 いよいよ今週は宝塚記念。栗東に滞在しているイクイノックスが見納めかと思うと、少々寂しい気持ちですが、それでもたっぷりと調教の様子を見せてもらえたことは自分にとっての財産。実は木村哲也調教師とも少しお話をさせていただく機会があり、その時はイクイノックスのことというよりも、木村厩舎の馬について「あの時のパドックはあんな感じでしたけど…」と自分が疑問に思っていたことを質問させていただいたりしました。

 普段、取材させていただいているわけでもないのに、すごく丁寧に、そして分かりやすく解説していただき、本当にありがたかったです。今回お聞きした内容は週末に競馬場で行われるJRA主催「ビギナーズセミナー」のパドック解説でも使えるようなことでしたので、本当に良い経験でした。だから、イクイノックスと木村厩舎には負けないで欲しいなあ、という応援の気持ちもありますが、ウマい馬券ではしっかりと客観も重視して予想を組み立てたいと思います。

【宝塚記念/イクイノックス】

 栗東へ入厩したのが6月4日。その2日後に逍遥馬道で見た時は少し周囲の様子を窺いながら歩いているなあと思いましたが、翌週の火曜日に同じ場所で見た時にはもうそんな様子はありませんでした。もちろん、それまでの美浦トレセンでのイクイノックスの姿を知らないので、比較できないわけですが、やっぱりこの馬の持った雰囲気はスペシャルだと思います。

 1週前追い切りのCWでの動きは本当に最高でした。6Fからきれいな加速ラップを踏む走り。もう完璧だなと思ったわけです。ただ、最終追い切りは6F標識区間が15秒を切って、その後が遅くなるラップ。いわゆるちぐはぐラップになりましたから、これをどう評価するか。気になるとすればそこですが、先週末には坂路で2F24.2秒でラスト11.8秒の脚力ですから、体調が悪いとは到底思えません。

調教Gメン研究所

1週前追い切りの動きは最高だったイクイノックス(写真真ん中、6月21日撮影)


【宝塚記念/ジャスティンパレス】

 1週前追い切りのCWでの動き。相手が動いたこともあるんですが、目一杯に追われていただけにどうなんだろうと心配したところもあります。とはいっても、3F35.6秒ですし、こちらは追走して外を回っています。これだけ動けばそうなるかなと納得した部分もあります。

 それに比べると、最終追い切りは内を回ったとはいえ、前走重賞好走のイクスプロージョンに楽々と先着。一杯に追う相手に馬なりで先着という内容は先週と全く違います。4コーナーでのラップが14秒台というところがこれまでと比べて少し遅い分だけ、今回の距離になってどうなのかという懸念はあるものの、動き自体は高く評価すべきだと思います。

調教Gメン研究所

動き自体は高く評価すべきなジャスティンパレス(写真手前、6月14日撮影)


【宝塚記念/ディープボンド】

 1週前追い切りは同厩舎の古馬3勝クラスとの併せ馬でしたが、それを置き去りにした後、前にいたテーオーケインズに並びかけて、競り負かすようなゴール前。3F35.7秒、ラストは11.3秒と素晴らしい動きだったと思います。

 それに比べると、かなり落ち着いた内容となった最終追い切り。単走だったこともあり、さほど見映えはしませんでしたが、あの動きで最後の直線は11.9秒から11.7秒だったんだというくらいには動けています。調教内容に関しては前走同様、気になるところはありませんが、前走のレース内容が残り1200mから13秒台のラップが続くような歪なペース。昨年の宝塚記念のように3コーナー手前から速いラップになった時はどうなんだろうという感じはしています。

調教Gメン研究所

かなり落ち着いた内容となった最終追い切りだったディープボンド(6月21日撮影)


【宝塚記念/ヴェラアズール】

 ジャパンCで◎を打たせてもらった馬。その前の京都大賞典でも◎を打ったんですが、正直、あの時の勢いは素晴らしくて、追い切り前の運動の段階からオーラが出ている感じ。有馬記念ではそれを少し感じることができなかったので▲としましたが、先週までの段階では印を付けること自体をどうするかという印象でした。

 そして、最終追い切り。CWで単走でしたが、脚をためることが難しいのかなという走りで前半がちぐはぐラップ。最後の直線こそ、11.7秒から11.3秒に加速できていましたが、やっぱりJCの時の方が良かったという部分は残ります。個人的には馬体に少し緩さも感じるだけに馬体重もチェックしておきたいかなと思います。

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前半がちぐはぐラップだったヴェラアズール(6月21日撮影)


【宝塚記念/ジェラルディーナ】

 香港以来のレースになりますが、先週までの時点で追い切りは2本。週末の追い切りもないので、こんな感じですが、有馬記念は中5週で3本。エリザベス女王杯が中6週で3本ですから、トレセンで3本追いはある意味、GIで好走しているといってよいと思います。

 ただ、今回はレース間隔が前記2レースよりも少しあいています。また、最終追い切りで併せ馬を課してくるかどうかで有馬やエリザベスとは違ったパターンになるかも知れません。このあたりも含めて、最終追いの内容をきっちりと見極める必要はあるのかも知れませんね。

調教Gメン研究所

香港以来のレースになるジェラルディーナ(6月15日撮影)


◆次走要注意

・6/18 ユニコーンS【メイショウモズ】(11人/4着)

 調教適性があったからこその4着ですが、パドックではとても初東京とは思えない落ち着き。発汗もなく、ウマい馬券で◎にしたアイファーテイオーと印を逆にすればよかったと思ったくらい。次走は自己条件なんでしょうが、そこをすんなり勝つようなら、いつか重賞でチャンスがあるはず。

[メモ登録用コメント] [ダート中距離]最終追い切りが坂路で4F目最速ラップなら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<阪神芝2200m>
◎1週前追い切り以降、トラックウッドチップ馬場でラスト4F13.9秒以下
◎最終追い切りが坂路馬場で4F目最速ラップ
○最終追い切りが坂路馬場で2F25.0秒以下

 昨年の宝塚記念は1着馬の1週前追い切り、3着馬の1週前追い切りが◎トラックWに該当していました。ちなみに1週前追い切りの時点でこの◎に該当したのはライラックのみ。そのラップは13.8秒、13.6秒、12.2秒、11.4秒。もちろん、この馬には何かしらの印を打つ予定ですが、週中の雨次第では坂路追い切りの重要性も高まるかも知れません。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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