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草津手話サークル「つばさ」で手話を勉強中! 仲間たちと交流を楽しんでいます

  • 2023年11月01日(水) 12時00分
手話サークル「つばさ」で毎週楽しく活動している常石さん。手話や指文字にチャレンジしながら、コミュニケーションの幅を広げています! 手話や指文字は、海外遠征でも役に立ったようで…?

日々是好日

▲秋華賞を制したリバティアイランドと川田騎手(撮影:桂伸也)


 10月15日に行われた秋華賞は、オークスから直行したリバティアイランドが見事に史上7頭目牝馬3冠を達成。陣営の皆様おめでとうございます。

 川田騎手38歳の誕生日、自ら掴み取ったバースデープレゼントでしたね。「神様がくれた最高の贈り物に感謝」この言葉に感動です。中内田調教師と川田騎手のタッグは、黄金コンビとも呼ばれるようになってきましたね。

日々是好日

▲菊花賞を制したドゥレッツァとルメール騎手(C)netkeiba.com


 翌週は、クラシック三冠のラストを飾る菊花賞。3年ぶりに京都競馬場での開催です。ダービー馬タスティエーラと皐月賞馬ソールオリエンスをはじめ、夏のあがり馬など…3000mの長丁場だけにコンディションやスタミナをジックリ検討。

 ルメール騎手マジックで驚きの展開、ドゥレッツァの走りは圧巻でした。ドゥラメンテ産駒からまたまたスターホースが誕生しましたね。今年は京都競馬場で間近で見ることができ、3000mを走り切る馬のパワーとルメール騎手の手腕に感動しました。ヨーロッパで鍛え上げられた手腕を見せつけられましたね。関係者の皆様、おめでとうございます。新装京都競馬場には、競馬の神様が宿っているようですね。皆様も秋競馬を楽しみましょう。

 今回のコラムでは、海外遠征時に手話がとっても役にたったことを皆様に紹介したいと思います。

 手話は、聴覚障がい者にとって必須のコミュニケーション方法ですが、英語もドイツ語も全く話せない僕には海外遠征でとっても役に立ちました。手話は、聴覚障がい者だけの言語ではないと実感しています。

 買い物に行き、欲しいものをジェスチャーで表現すると「OK」と教えてくれて、ほとんどのものを買うことができました。レストランでもカタコトの英語、手話でいうと指文字のようなもので表現するとサンドイッチやハンバーガーなどを買うことができ、レストランでも食べる真似、切る真似をすると、ステーキも食べることができました。

 大会参加の時、パラ馬術の関係者が馬リボンを首にかけてくれた時も「ありがとうございます」と会釈するだけではなく手話をすると「good」といってハグをして褒めてくれました。手話最高! 指文字最高! ジェスチャーもグッド!

 手話を習うきっかけになったのは、落馬してから福祉支援施設、聴覚障がい者支援施設「びわこみみの里」に通い初めたことです。もう10年以上になります。みみの里では手話で話されるので、ほとんど通じなく…いろいろトラブルもあり迷惑かけてしまうことも多くあったので、自宅近くに、草津手話サークル「つばさ」があることを教えていただき仲間に入れていただきました。その手話サークル「つばさ」の歴史は古く、昭和56年に「つばさ」の規約ができたそうですが、その前から活動し50年以上も活動しているそうです。僕が生まれる前から活動をしていると聞き驚きです。

日々是好日

▲草津手話サークル「つばさ」のみなさんと


 代表は米津穂高さん。いつも親切でいろんなことを教えてくれて、お世話になっています。サークルの仲間も30人くらいいますが、年齢も職業も性別も、聴覚障がい者もそうでない人も関係なく、手話に関心のある人たちの集団です。春と夏にはレクリエーション企画やクリスマスパーティーなどもあり、とっても楽しい仲間の集まりです。他にも手話検定や県サ連手話サークルの集い、近畿手話サークルフォーラムなどの活動をしています。手話サークルの場所(草津市民総合交流センター)が新設され、快適な部屋で毎週火曜日の午後19時から21時まで例会をしています。

 先日の例会では、指文字をあいうえお順に表現し、そのあと指文字2語の3文字でしりとりをしました。3文字と決められると難しく…僕は「ず」から始まる言葉探しに「うーん」と考え込んでしまい、なかなか出てきませんでした。母が「絵を描く時間をなんというの?」とヒントをくれ、「図工!」とやっと指文字で言えました。みんないろいろ悩んでいるのが面白くて、お互いヒントを言い合ったりしています。もちろん指文字です。しゃべるのはタブーです。

 他に質問コーナーもありました。僕は「あなたの一番好きな食べ物は何ですか?」と聞かれ「オカンの作ったものが一番好きです」と神対応し、拍手をいただきました。ちょっと恥ずかしかったです(いつもは例会にいない母ですが、この日はコラム用の写真を撮りに来てくれていました)。

 こうして手話サークルに参加し、いろんな手話を教えていただいています。なかなか覚えられませんが、繰り返し何度もすることで、指文字や挨拶、自己紹介などができるようになり、みみの里でも少しずつ手話で会話ができるようになってきました。意思疎通できるってうれしいですよね。

日々是好日

▲「意思疎通できるってうれしい」


 片手で人差し指を鍵のように曲げると、“盗る”とかの意味になるんですが、両手で人差し指を顔の前で立てて曲げると「こんにちは」のあいさつになります。

「ありがとう」は相撲の“ごっつあん”の仕草をします。僕は左麻痺があるので「ごっつあん」の手を縦に振る仕草だけになり、物を切る表現になってしまいます。片手だけで表現すると全く違う意味になってしまうんですよ。

 母に「左手はどこにあるの? 両手を使ってください」とずっと言われていたので、手話を覚えると自然に両手が使えるようになると思い、みみの里にお世話になることにしたんです。滋賀県には、高次脳機能障害患者を受け入れてくれる施設がほとんどなかったです。だからみみの里での作業は、脳を少しでも目覚めさせることができ、いろんな人と交流もできるので面白いです。聴導犬の訓練もしているので、いろんな市や施設の方々が見学に来られます。

 みみの里の所長に、手話と指文字の違いを聞いてみると…。

 手話は人の動作を表す。例えば「障害」は、棒をぽきっと折るような動作をします。「行く」は人差し指と中指を胸の方から前へ指を前後に動かし歩いているように見せる。指文字は、動作に付け加えたりするので、手話のふりがな的な存在になるそうです。

 手話は、聴覚障害のある方たちのコミュニケーションの中から自然と生まれたもので、英語や日本語などと同じように自然言語です。音声ではなく手や表情を使って意思疎通を行います。

 何か伝えづらい内容や横文字的なものを伝えたい時は指文字が重宝するそうです。指文字と手話の違いを理解して上手く両方を使えたら便利ですね。

 障害のあるない関係なく、コミュニケーション能力を高めるために必要だと思います。僕の脳の活性化との麻痺がある身体のエネルギーにもつながっていると感じます。

日々是好日

▲脳の活性化、身体のエネルギーにもつながっている


 最後に自己紹介を指文字で。

 小指と薬指を立てて「つ」、指を広げてパーの状態で下に向け根っこみたいにして「ね」、小指を立てて「い」、親指を立て、指がL字のような形をして「し」。

 みなさんも是非とも使ってみてください。コミュニケーションの幅が広がると思います。競馬関係の陣営の方は、大きな声を出せないときに手話で会話するのも良さそうです。

オカン 落馬後、声が出なくて思いが通じなかった時、手話というよりジェスチャーで表現し会話や筆談をしました。表現を読み取ることは、相手をしっかり見ることにつながると思います。息子は、今でも思いを上手く言葉にできない時はジェスチャーで表現していますね。

 手話は、万能な表現なんでしょう。仕事をしていた頃に少し手話を習った時、衝撃なことがありました。公衆トイレを使用する時、トントンとノックをしますが、使用中の時、中から「入っています」とか「トントン」と返されても聴覚障害の方には通じなかったのです。ドアの下の方を覗いたりドアを無理やり開けようとし、警察に通報されてしまいました。

 その後、オリンピック開催時にトイレのドアに赤・青カラーの窓が付き色が出るように改良されたそうです。やはりオリンピック・パラリンピックはグローバルですね。世界大会では、世界手話通訳があります。みなさんもぜひ手話にチャレンジしてみてください。

つねかつこと常石勝義&オカン

(次回の更新は12/1(金)を予定しています)

***

今月、下記の行事に参加します。

■聴覚障がい者生活訓練事業「いきいき情報教室」
主催:滋賀県立聴覚障がい者センター
日時:11月11日(土)13:30〜15:30
会場:プロシードアリーナHIKONE
テーマ:避難時の栄養の取り方等みんなで一緒に防災学習

■聴覚障がい者の社会的自立を考えるセミナー
主催:社会福祉法人 滋賀県聴覚障害者福祉協会
日時:11月23日(木)13:00〜16:30
会場:キラリエ草津(草津市民総合交流センター)
テーマ:「情報・コミュニケーションの共生社会を目指して」

※実践報告では、僕が通うびわこみみの里が実践している事業を取り上げ報告します。他の事業所の報告もあります。お近くの方は是非参加してください。参加無料ですが参加希望の方は、11月10日(金)までに滋賀県立聴覚障害者センター(077-561-6111)にお申し込みください。

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1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。

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