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エプソムC

  • 2006年06月12日(月) 12時50分
 最終日の少し荒れていた芝が、予報以上の雨にたたられてしまい、芝は9Rから「重馬場」。雨が降り続いていたため、渋った馬場を苦にする馬は走りにくそうだった。特に追い込みづらいコンディションだった。

 勝ったトップガンジョーは、決して重巧者というわけではなく、持ち味は軽快なスピードだが、途中からハミを取って早めに動きたがるタイプ。折り合いを欠きがちな馬は、先行有利な渋馬場をプラスにしてしまうケースが多いとされるが、今回はなだめて前に壁を作ろうとするのではなく、早めにスパートしたがる気性を、先行型有利の馬場にうまく適応させた。流れは決して楽ではなくレースの上がりは37.1秒。最後の1Fは13.2秒にまで落ち込んでいたが、競り合う形になったマチカネキララを突き放してみせた。これで左回りの芝【4・2・1・2】。とくに得意とする新潟で再度の快走がありそうだ。

 トップガンジョーと1度は並び、抜け出そうとしたマチカネキララは、最後の1Fで急激に失速。脚が上がらなくなってしまった。馬場の悪い内側を通ってきたことと、手前を替える瞬間にヨレるなど、明らかに馬場が応えた形だが、秋にはGI戦線を…という期待馬にしては、ちょっと物足りなかった。ゴール寸前で詰めを欠いた形は、実は前走のオーストラリアTの3着時と同じで、あのときは14kg減の馬体重と、大事に乗りすぎたのではないかと見られていたが、要因は違うにしても負け方は同じ。期待の大きい馬だけに、スケールの大きさは衆目の一致するところだけに少し気になった。立て直しての成長に期待したい。

 グラスボンバーは、こちらは明らかに時計のかかるコンディションが合っていた。この後の福島、新潟と続くローカル戦にはもともと抜群の良績を残す馬。昨年3着にとどまった七夕賞あたりに目標を置きそうだ。福島だともっと早めにスパートすることもできる。

 立ち直りを期待されたクラフトワークは完調とは言えないまでも、馬体作り、返し馬のストライドなど決して悪くは見えなかったが、追い出してから、重賞3連勝当時の迫力がなく、バランスを崩していた。今季は脚部難は一応解消している。間をあけることなく、函館記念に出走できるようなら再注目したい。

 小差の4着デアリングハートは決して重巧者でもなく、内を通らされた不利を重ね合わせると、中身の濃い充実の4着だった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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