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まさに「名は体を表す」結果に──オオバンブルマイの豪遠征同行でみた歴史的瞬間【藤井勘一郎騎手レポート】(後編)

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  • 2023年11月15日(水) 18時01分
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▲オオバンブルマイに騎乗しゴールデンイーグルを制したジョシュア・パー騎手と(提供:岡浩二オーナー)


11月4日にオーストラリアで行われた1着賞金約5億円のビッグレース・ゴールデンイーグルを制したのは日本からの遠征馬オオバンブルマイでした。

「オオバンブルマイ=大盤振る舞い」とは、気前よく人にご馳走したりすること。寄付活動など、社会的な意義も強いゴールデンイーグルというレースでの勝利はまさに…?

最後には、本遠征の同行にご協力をいただいた関係者の皆様への感謝の気持ちと、藤井騎手自身の今後に向けた力強い意気込みを綴りました。

「藤井勘一郎騎手豪遠征レポート」前編を読む

(取材・構成:松山崇)

オーストラリアでの懐かしい出会いと、厳しかった見習い騎手時代


 今回の渡豪では、たくさんの懐かしい出会いもありました。

 ジョッシュのマネージャーを務めていたのは香港等で活躍していた元騎手のタイ・アングランド氏。落馬事故で車椅子生活を送っています。ユタカさんのメルボルンCの騎乗馬探しも、オーストラリアをベースに活動している川上鉱介氏と市川雄介氏と協力して手伝ってもらいました。

 ゴールデンイーグルの前に行われたギガキックSを制したのは、日本でもお馴染みのC.ウィリアムズ騎手。クレイグは本当にナイスガイで、札幌で行われたWASJ(ワールドオールスタージョッキーズ)の前に、わざわざ私の入院先までお見舞いに来てくれたことも。ギガキックS勝利後にご家族と一緒に写真を撮らせてもらい、旧交を温めることができたのは良い思い出です。

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▲クレイグ・ウィリアムズ騎手と奥さんとご両親と(提供:藤井勘一郎騎手)


 15歳で入学したオーストラリアの競馬学校で出会ったのが中條大輝調教師。卒業後、私は騎手を志し、彼は馬術の世界を経て15年にオーストラリアの調教師免許を取得し、厩舎を開業しています。

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▲左から中條大輝調教師、富澤希騎手、クリントン氏(藤井騎手の元マネージャーで、現在は富澤騎手のマネージャー)(提供:藤井勘一郎騎手)


 まさに戦友とも呼ぶべき存在で、私がJRAの試験を目指していた時には、馬術の練習などを協力してもらいました。私のキャリアを振り返った時に、欠かすことのできない特別な存在の一人です。

 見習い時代のボスであるノエル調教師とエマ夫人、そしてお世話になったコルオーナーとも再会することができました。余談ですが、私が地方時代に着ていた勝負服は、コルオーナーのものなんです。シドニー時代にコンビを組んで活躍したベネッツグリーンという馬のオーナーです。

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▲コルオーナーの勝負服を着て地方競馬で騎乗していた藤井騎手(提供:藤井勘一郎騎手)


 ノエル調教師はとにかく厳しかった。作業量が多く肉体的にもキツかった上に、「一から信頼関係を築きなさい」と見習い期間中の前半はエージェントをつけることも許されず。でも、今思えば、全て私の将来を慮ってのこと。

 まだ20代前半のアジアの若造を受け入れて、騎乗依頼するというのは簡単なことではありません。まさに、大恩人です。

 私がSNSでアップしているリハビリ動画もご覧になっていて「頑張っている姿が励みになったよ。よくオーストラリアまで来てくれたね」と言葉をかけてもらいました。

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▲見習い時代のボス・ノエル調教師(私の後ろ)、奥様・エマ(向かい)、オーナー・コル(写真右)(提供:藤井勘一郎騎手)


「名は体を表す結果に」不安を跳ね除けるパー騎手の“素晴らしい騎乗”


 再度、話をオオバンブルマイに戻します。

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