スマートフォン版へ

【シンザン記念】たった1戦のキャリアで重賞初制覇

  • 2024年01月09日(火) 18時00分

光るレースぶりを見せた新星ノーブルロジャー


重賞レース回顧

シンザン記念を制したノーブルロジャー(c)netkeiba.com


 東京芝1600mの新馬戦を1分36秒8で制しただけの新星ノーブルロジャー(父Palace Maliceパレスマリス)が、たった1戦のキャリアでGIIIシンザン記念を制した。

 コースもペースも大きく異なったのに、新馬戦の勝ち時計を2秒3も上回る1分34秒5=「自身58秒8-35秒7」の快勝だった。最後の1ハロン11秒9が光る。

 新馬戦は超スロー「自身63秒5-33秒3」=1分36秒8の二番手抜け出しなので、まったく流れの異なる1600mを、一転、控えて追い込む形で勝ったノーブルロジャーの評価は急上昇。前半は行きたがっていた。巧みになだめて進み、直線は芝状態のいい外に出した川田騎手の2戦目に課したテーマに、全面的にこたえた。

 同じパレスマリス(父Curlinカーリン。今春から日本で種牡馬入り)産駒の、ジャンタルマンタルの朝日杯FS1600mの勝ち時計は1分33秒8=「59秒0-34秒8」。コースも流れも異なるので比較は難しいが、ジャンタルマンタルは当時3戦目であり、2戦目のデイリー杯2歳Sはノーブルロジャーの今回と同じ京都の外回りで、まったく同じタイム1分34秒5=「自身59秒8-34秒7」だった。流れのバランスや、芝状態は異なるが、ことマイル戦で秘める能力はほとんど互角だったことになる。

 同じ川田騎手で、同じ2戦目に、同じ京都1600mの重賞を、まったく同じ時計で勝ったこの2頭。異なるのはオーナーと、所属厩舎。オーナーが同じなら使い分けの別路線だろうが、オーナーは最大のライバル関係にも近い。父パレスマリス産駒は芝をこなし、パレスマリス自身はマイルの米G1も、12FのG1ベルモントSも勝った幅広い距離適性を示していた。

 ノーブルロジャーにはクラシック登録がないともされるので当面のスケジュールは異なるだろうが、順調に成長曲線をたどるなら、頂点の日本ダービーでの対決はある。置かれた立場は違っても、そうあって欲しい気がする。

 2着エコロブルーム(父ダイワメジャー)は、外枠から互角以上の好スタート。正攻法の好位追走から直線しぶとく伸びて1分34秒7。自身の中身は「58秒6-36秒1」。

 いかにもマイラータイプらしいスピード能力を全開しての好走なので、半兄ラーゴム(父オルフェーヴル)とは違って、マイル路線を進むと思える。

 心もち全体に時計を要する芝コンディションになり、先行タイプには苦しい流れになったとはいえ、上がり最速の35秒2で一気に突っ込んできたウォーターリヒト(父ドレフォン)は、17番人気の伏兵。4コーナーではほぼ最後方。すごい爆発力だった。恵まれた先行残りではないから、フロックではない。

 2歳後半から、3歳初期に快走する馬が多いのか(ジオグリフのように)、ドレフォン産駒は昨年の最終週にはJRAだけで産駒が4勝もしている。フェアリーSのマスクオールウィンも2着惜敗だった。ここまでの4戦がすべて2000mで目立った時計のないウォーターリヒトは人気の圏外だったが、ファミリーは名門。コイウタ、ビハインドザマスクなどの一族だ。

 2番人気で0秒6差5着のショーマンフリート(父スワーヴリチャード)は、今回は3カ月の休み明けで、新馬戦とはまったくレースの流れが違い対応できなかったが、0秒6差なら少しも悲観する内容ではない。ゴール前は伸びていた。

 また、4番人気のナイトスラッガー(父ルーラーシップ)、5番人気のバレルターン(父リオンディーズ)は、ともにいいところなく着外にとどまったが、そろって好馬体の期待馬。未勝利勝ちの3戦目にいきなり18頭立ての重賞挑戦で結果が出なかったからといって、評価が下がるものではない。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング