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【AJCC】例年と様相を異にする伝統重賞

  • 2024年01月20日(土) 12時00分

牝馬や高齢馬にも魅力十分


 今年のAJCCは面白い顔ぶれになった。時折、年季の入った年長馬が好走することがあるが、今年は8歳馬が3頭もいて、しかも注目を集めている。さらに、これまで全くと言っていいほど存在の薄かった4歳牝馬が、もしかしたらと思わせているのだ。中山外回りの2200米という難しいコースだからこそ、これまでのキャリアがものを言うという考え方に、別定54キロが混戦の中で生きるという見方が加わって、この他の世代とどんな戦いを見せるか、例年にない興味をかき立てていると言っていい。

 この10年、8歳馬の出走は全部で32頭で、全145頭の出走頭数にくらべ、マアマアなのだが、その成績は、6年前に3着に入ったマイネルミラノ只一頭だけが馬券にからんでいただけで、だいたいが大敗していた。このステイゴールド産駒のマイネルミラノは、前年のオールカマーでスローペースで逃げて4着に粘っていて、同じ舞台なら8歳になったとは言ってもと穴の評価だった。レースはスタートで遅れ、押して1コーナーすぎでハナに立ってマイペースに持ち込み最後まで粘って3着に入っていたが、我慢強く持久力がある馬で、それがこの好走につながっていたと言われていた。

 おむすび型のコースで向こう正面から下り坂が続き、各馬のスパートが早くなりがち。しかも最後の直線の急坂が待っていて、そう簡単ではない。こうした条件を克服できるかどうかがカギだが、今年の8歳馬はこれまでとは異なり、マイネルウィルトス、ボッケリーニ、カラテの3頭共魅力がある。

 長くいい脚を使いスタミナ十分のマイネルウィルトスは重賞2着4回が示す堅実タイプ。すでに重賞を3勝しているボッケリーニは、GII戦で6戦1勝2着4回、3着1回と走っており、「勝ち切るのが今年のテーマ」と陣営は語っている。またカラテは、コース実績はあり、器用さがないのでその分、このコース形態がプラスになるかもしれない。

 この8歳馬3頭に、4歳牝馬のモリアーナを加えてみたい。牝馬はこの10年で7頭しか出走していないが、4歳馬は3年前の6着馬ウインマリリン1頭だけ。フローラSを勝ってオークス2着だったからこその挑戦だったが、カベは厚く、逃げ馬の直後につけながらゴール前で力尽きていた。

 だが今年のモリアーナはこれとは違う。春のマイル路線から秋は中距離路線に切り換え、中山の紫苑Sで鮮やかな追い込みを決めていた。さらなる飛躍を目指すいま勢いのあるエピファネイア産駒。1991年のメジロモントレー以来の牝馬の優勝をと期待してもいいだろう。何と言ってもその脚質が魅力だ。

 キャリア14戦で一度も掲示板を外していない6歳馬チャックネイトを従来の流れから選んでおいて、以上の5頭から中心馬を決めてみたい。

 伝統の古馬の重賞AJCCは、これまでとは一変したレース結果を見ることになりそうだ。

「この春の めざす路線が 見えてきた」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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