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【フェブラリーS AI予想】オッズ的にも悩ましい存在!? AIが推す実績馬の信頼度をチェック

  • 2024年02月12日(月) 18時00分

京都記念は単勝オッズ4.0倍(3番人気)のプラダリアが勝利(c)netkeiba


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

超人気薄の伏兵が波乱を演出した例は意外と少ない


AIマスターM(以下、M) 先週は京都記念が行われ、単勝オッズ4.0倍(3番人気)のプラダリアが優勝を果たしました。

伊吹 実績や実力の差を見せ付けた形ですね。スタート直後からバビット(3着)やアフリカンゴールド(10着)が積極的に飛ばしていく中、この馬自身もスムーズに好位を確保し、道中は5番手前後のポジションを追走。4コーナーで先行勢との差を詰め、楽な手応えのままゴール前の直線に入っています。

 残り200m地点のあたりで2番手に浮上し、最後は内から迫ってきたベラジオオペラ(2着)と併せる形に。最内で粘るバビットをあっさりかわし、ベラジオオペラに対しても3/4馬身のリードを保ったまま入線しました。

 終始まったく危なげのないレース運びだったうえ、2着に下したベラジオオペラはずっとこの馬をマークしていたわけですから、着差以上の完勝と言って良いはず。プラダリア自身はもちろん、巧みなリードで横綱相撲を完遂させた鞍上の池添謙一騎手も、お見事と言うほかありません。

M ちなみに、プラダリアは前回の当コラムでAiエスケープが推奨していた馬です。

伊吹 近年の京都記念で優秀な成績を収めていた馬の傾向、すなわち「ビッグレースで善戦したことがある」「GIからの直行組か、前走との間隔が詰まっている」「比較的若いか、前走の着順が良い」という条件をクリアしていたので、私も最終的に◎を打つことができました。

 2週前の東京新聞杯でも、Aiエスケープの推奨馬、かつ私の最終的な◎だったウインカーネリアンが、単勝オッズ8.4倍(4番人気)の低評価を覆して2着に食い込んでいますね。良い流れに乗れていると思いますし、何とかこの調子を本格的なGIシーズンまでキープしていきたいところ。引き続き気合を入れて臨みますので、Aiエスケープにも頑張ってもらいましょう。

M プラダリアも今後が楽しみです。

伊吹 これで2022年の青葉賞、2023年の京都大賞典に続く自身3度目のGII制覇。まだGIで馬券に絡んだことはありませんが、2022年の日本ダービーで5着に、2023年の宝塚記念でも優勝馬イクイノックスと0.4秒差の6着に食い込んでいます。今春は大阪杯を大目標にしているとのこと。

 東京や京都といった、ゴール前の直線に急坂がないコースを得意としているタイプではあるものの、スタミナやスピードの持続力を問われる流れになれば、阪神芝2000m内でも侮れません。仮にそこで結果を残せなかったとしても、その後のビッグレースで人気の盲点になる場面は必ずあるはず。絶好の狙い時を見逃してしまわないよう、しっかりマークしておきましょう。

M 今週の日曜東京メインレースは、今年最初のJRAGIであるダート界の頂上決戦、フェブラリーS。昨年は単勝オッズ2.2倍(1番人気)のレモンポップが優勝を果たしました。


 ちなみに、その2023年は単勝オッズ9.0倍(3番人気)のレッドルゼルが2着、単勝オッズ10.7倍(4番人気)のメイショウハリオが3着となり、3連単の配当は7700円どまり。今年も堅めの決着をイメージしておいた方が良さそうですか?

伊吹 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、単勝1番人気馬は勝率が50.0%、3着内率が90.0%。2022年に単勝1番人気の支持を集めたレッドルゼルは6着どまりだったものの、ほとんどの年は最上位人気馬がそれなりに格好をつけています。


M その一方で、単勝7番人気以下の馬が馬券に絡んだ例はそれほど多くありません。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2〜5番人気の馬は2014年以降[4-6-4-26](3着内率35.0%)、単勝6〜9番人気の馬は2014年以降[0-1-4-35](3着内率12.5%)、単勝10番人気以下の馬は2014年以降[1-1-0-66](3着内率2.9%)となっていました。

 2014年1着のコパノリッキーは単勝オッズ272.1倍(16番人気)、2020年2着のケイティブレイブは単勝オッズ142.6倍(16番人気)の超人気薄だったものの、生涯の通算成績で言えば、コパノリッキーはGI・JpnIを計11勝、ケイティブレイブもGI・JpnIを計3勝している歴史的名馬。各々の事情により、たまたま当該レースの時点では注目が集まっていなかっただけですから、基本的には実績や潜在能力を素直に評価するべきでしょう。

M そんなフェブラリーSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、イグナイターです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。レースを盛り上げてくれる存在ではありますが、馬券的な人気はほどほどの水準にとどまりそう。

M イグナイターはここ2年連続でNARグランプリ年度代表馬に選出されている地方競馬のスターホース。前走のJBCスプリントでJpnI初制覇を果たしたほか、2走前のマイルCS南部杯でも2着に健闘しています。ただし、JRAのレースを使うのは2021年のユニコーンS(12着)以来。取捨に悩んでいる方が多いかもしれません。

伊吹 十分にチャンスがありそうな実績の持ち主である一方、地方所属馬という属性が複雑に作用して、結果的に悩ましいオッズがつきそうな雰囲気ですよね。もっとも、Aiエスケープは狙い目と見ている模様。その見解を踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M 真っ先に注目するべきポイントはどのあたりでしょうか?

伊吹 JRAのレースにおける実績はしっかりチェックしておきたいところ。2018年以降の3着以内馬延べ18頭中17頭は“JRAの、2000m未満の、重賞のレース”において1着となった経験がある馬でした。


M これはわかりやすい。重賞未勝利馬はもちろん、地方の重賞しか勝っていない馬も強調できませんね。

伊吹 地方のダートグレード競走における成績は、あまり参考にならないと考えた方が良さそう。今年もまずはJRAのレースを主戦場としてきた馬に注目したいところです。

M 先程も触れた通り、イグナイターはJRAの重賞で好走したことがない馬。この傾向からは不安視せざるを得ない存在と言えます。

伊吹 あとは血統も重視したいファクターのひとつ。父にミスタープロスペクター系種牡馬を持つ馬は2018年以降[5-3-1-18](3着内率33.3%)ですから、相応に高く評価するべきでしょう。なお、父がミスタープロスペクター系以外の種牡馬だったにもかかわらず3着以内となった9頭は、いずれも“JRAの、GIのレース”において7着以内となった経験がある馬でした。


M ミスタープロスペクター系種牡馬の産駒でない限り、まだJRAのビッグレースで善戦したことのない馬は割り引きが必要ですね。

伊吹 おっしゃる通り。今年もこの条件に引っ掛かっている馬はかなり多いので、今のうちにひと通り確認しておいた方が良いかもしれません。

M イグナイターの父は、ミスタープロスペクター系に属していないエスポワールシチー。この条件に引っ掛かっている側の一頭ということになります。

伊吹 さらに、2018年以降の3着以内馬延べ18頭中12頭は、出走数が20戦以内でした。


M キャリアが豊富過ぎる馬はやや劣勢、と。

伊吹 なお、出走数が21戦以上だった馬のうち、“東京芝1600m・東京ダ1600mの、GIのレース”において5着以内となった経験のない馬は2018年以降[0-1-0-32](3着内率3.0%)。コース適性の高い実績馬でない限り、キャリア21戦以上の馬は思い切って評価を下げましょう。

M キャリア25戦のイグナイターにとっては、こちらも気掛かりな傾向です。

伊吹 正直なところ、私は無印にする予定でした。ただ、思いのほか妙味あるオッズがつく可能性もありますし、好調なAiエスケープが注目馬に挙げてきたわけですから、無理に嫌う必要はないのかも。手広く構えても良さそうな状況であれば、押さえるかどうかもう一度じっくり検討しようと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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